選挙法には詳しいはずの共産党の議員の方が駅頭で朝の8時前に大きな声を張り上げて運動をしているようだ。
何の運動かしら。
衆議院選挙に立候補している人への投票や特定の候補への反対の投票を呼び掛ける運動なら選挙運動だろうし、特定の選挙に関わりのない一般的な政治に対する意見の表明なら政治活動だろう。
共産党の幹部の方々がこういう運動を展開することを指示していたとするなら、これは共産党の組織的な選挙運動なり政治活動になってしまうのだから、悪くすると共産党に致命傷になる。
公職選挙法164条の6は、「何人も、午後8時から翌日午前8時までの間は、選挙運動のため、街頭演説をすることができない。」と規定しており、共産党の方々が特定の候補者の当選を目的として朝8時前に街頭演説をしていることが事実だとしたら、どういう観点からも公職選挙法違反になる。
まあ、今回の衆議院補欠選挙には共産党の候補者は立候補していないから、これは選挙運動ではない、などと弁解されるかもしれないが、そうなるとまた別の問題が発生する。
公職選挙法第201条の7及び第207条の5の規定によって、政党その他の政治活動を行う団体は、選挙の公示の日から選挙の当日までの間は政談演説会の開催も街頭演説も一切してはならないことになっているのだから、これも公職選挙法違反ということになる。
些細なことのようだが、やはり法は法である。
小さなことであっても、法は守らなければならない。
こういうことに鈍感な人が、いわゆる選挙のプロや選挙の裏方の人の間に混じっていることがあるが、選挙コンプライアンスが問われている昨今、特に注意された方がいい。
ある日突然、問題になる、ということがある。
みんながやっているから大丈夫、これまで問題がなかったから大丈夫、などと軽信されないことだ。
誰かが見ている。
誰かが撮影している。
誰かが警察に苦情を申し立てている。
そう思っていた方がいい。
富山市議会の白紙領収書問題などは、その類である。
時代は大きく変わっている、ということをよくよく知っておかれた方がいい。
今回は何事もなく終わっても、次は分からない。
まあ、どの陣営についても同じことだが。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年10月21日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は共産党ツイッターの動画より)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。