いつまでもあると思うな日米同盟


沖縄の米軍ヘリパッド移設をめぐって、大阪府警の機動隊が「土人」と発言したという下らない話がいつまでも騒がれている。暴行は犯罪だが、暴言はそうではない。犯罪をおかしたのは機動隊に暴行した活動家であって、機動隊ではない。

活動家は米軍基地の撤去を求めているが、それは本当に撤去される可能性がないからだ。集団的自衛権に反対する憲法学者と同じく、自分たちが何をいっても米軍は日本を守ってくれると知った上で「米軍は沖縄から出ていけ」とだだをこねているのだ。

しかし米軍基地が永遠にあるとは限らない。主権国家である日本にこれだけ多くの米軍基地があるのは異常であり、日本が十分な防衛力をもって米軍が撤退するのが本来の姿だ。アメリカ大統領選挙でトランプがいうように、日本が核武装して米軍基地を撤去するという選択肢もあるのだ。

日米同盟は成立してから65年もたつ、史上最長の軍事同盟の一つだ。最初は米軍基地は日本を守るために置かれたのではなく、連合国(国連)の代表としてアメリカが「敵国」だった日本を監視するために置かれた。このため安保条約にはアメリカが日本を守る義務は明記されなかったが、60年改正でやや双務的に改正された。

それでも日米同盟の本質的な目的は日本の防衛ではなく、極東におけるアメリカの勢力圏の確保だった。沖縄の米軍基地の最大の役割は、ベトナム戦争に出撃する爆撃機の前進基地だった。それが終わった1972年に沖縄が返還され、集団的自衛権の行使を否定する法制局見解が出たのは偶然ではない。

80年代に日本はアメリカの経済的なライバルになり、冷戦が終わると日本を守る理由もなくなったので、90年代にはアメリカは湾岸戦争などで「応分の負担」を求めるようになった。これに対して日本政府は72年見解を楯にとって軍事的な協力を拒んできたが、ようやく不十分ながら一定の協力に踏み出したのが今回の安保法制だ。

かつて日本を監視するために置かれた米軍基地は、アメリカにとっても重荷になっているので、ヒラリーが大統領になっても基地を縮小する可能性がある。そのときは代わりに自衛隊が駐留することになるが、核戦力がないと沖縄の脆弱性は大きくなる。いつまでも日米同盟があるとは限らない。それはとっくに当初の使命を終えているからだ。