逆転の発想 ― 日本は自立せよ

早川 忠孝

トランプ氏勝利について記者会見に臨む安倍首相(首相官邸サイトより:編集部)

予想外のトンデモナイ事態になってしまったが、見方を変えると途轍もないチャンスに巡り合ったような気がしている。

アメリカにいる私の家族や鴇田くに奨学基金の奨学生は地殻変動を起こしているアメリカを現地で体感しているのだから、アメリカの一般大衆の動きやアメリカの世論の変化を日本に紹介出来るという大変な幸運に恵まれているということになる。

大統領選挙の最初から最後までを見てきたのだから、日本に帰ってから語るべき材料はふんだんに仕入れたはずだ。

世界中の人々がアメリカの動向を注視しているのだから、正確な情報収集を下に透徹した考察が出来るようになれば日本のみならず世界中の人にとって実に有益な人材になることが出来る。

ジャーナリズムとしては日本よりも一歩先を行くのだろうと思っていたが、アメリカのジャーナリズムもそう大したことがないことが明らかになってしまった。

何を信じ、何を信じないか、という大事な作業は、それぞれの人が自己責任で行うしかない。

もう大手マスコミの報道には無条件には頼れない時代になったということである。
普通の意味でのその分野の専門家や権威者にも頼れなくなってしまった。

私などは新聞の片隅に載っている様々なトピックスを手掛かりに、物事の趨勢を出来るだけ正確に把握しようと努力しているのだが、しかし、アメリカの大統領選挙についてはまったく見通しを誤ってしまった。
ミーハーだな、と揶揄されても仕方がないほどに、世間に流布している見方に左右されてしまい、世論調査等にはなかなか現れて来ない方々の素朴な考えなり感情に思いを致すことが出来なかった。

大きな声にはなかなかならないが、なんとなく伝わってくる一般庶民の感情なり反応というものがある。

アメリカでは、これまでの勝ち組の人が、アメリカ大統領選挙を通じて、いわゆる負け組の人たちの怒りなり反感に押し潰されてしまったのではないかしら、と思っている。

クリントン陣営の人もそういうあたりのことにもっと敏感だったら、こんな結果にならなかったのではないかと思うが、後悔先に立たず。

トランプの勝利で、アメリカはこれまでとはまったく違ったステージに立つことになった。
新しい時代が、トランプの登場で始まったということだ。

変化を恐れる人には苦々しい事態だろうが、変化を恐れない人には一つのビッグチャンスかも知れない。

私たちは、変化を恐れないことである。
トランプのアメリカの一歩先を行くことである。

トランプのアメリカは、どうしても内向きにならざるを得ない。

日本は、その先を行くことである。
アメリカが内に向いたら、日本は外に向かう。

アメリカが日本と距離を置くようだったら、日本はアジアに活路を求める。
アメリカが、新モンロー主義を取るようになったら、日本は世界に大きく門戸を開くようにする。

自立すればいいだけの話である。
自立の道は決して平坦ではないだろうが、日本には既に自立できるだけの能力が備わっているはずだ。

まだ何も決まっていないはずだから、今のうちに日本は日本の自立戦略を描くことである。

案外大きなチャンスが待っているように思う。

この人のブログを読んでおけばよかった

「切捨御免!ワタセユウヤの一刀両断」というブログがある。

アゴラには載っていたのだから、このブログを読んでおけばこんな恥ずかしい思いをしなくて済んだだろうに、と思うが、残念ながら私は自分のブログ以外のブログは殆ど読んだことがなく、どなたかからこれは読んでおいた方がいいですよ、というアドバイスがないと読まない。

この大事なブログを読まないでら勝手な感想を綴ってきたこれまでの自分の不明を、今は恥じるだけである。

なんだ一年前から今日の事態をしっかり見通していた人がいるじゃないか、アゴラには結構千里眼みたいな人が集まっているじゃないか、と驚嘆しているところである。

かなり選挙の予想に長けた人のようである。

日本の選挙だけではなく、アメリカの大統領選挙についても実に的確にフォローされていたことが分った。
選挙の実相にも相当程度通じておられる印象である。

まあ、どんなに選挙の予想の達人でも、候補者を当選に持っていくだけの技術や力はなく、まして選挙に伴って日々生起する様々な問題を適時適切に解決したり処理したりする能力まではないのが普通だが、こういう人が陣営にいると心強いことは確かだ。

ヒラリー・クリントンの陣営にこういう人がいればもう少し手の打ちようがあっただろうに、と思うが、選挙戦術のプロ集団が揃っているはずのクリントン陣営にもワタセユウヤさんのような人はいなかったということだろう。

あれ、この人は目が見えていたのね。

眼鏡を掛けていても、アメリカ大統領選挙の帰趨が見えなかった私が恥ずかしい。

私のブログを読んでいるという読者の方から私の所属する太陽コスモ法律事務所に一本の電話が掛かってきたそうだ。
「今日の早川先生のブログを読んで、是非、早川先生にご紹介したいブログがありますので、ご連絡しました。「切捨御免!ワタセユウヤの一刀両断」というブログで、googleで検索すれば出てくると思います。早川先生ともワタセ氏とも面識はありませんが、両方のブログの読者で、今日は同じトランプ氏の話題だったので、ご参考までに、と思いました。」

一読の価値があるブログである。
わざわざご連絡いただいた読者の方にお礼を申し上げるとともに、皆さんにご紹介させていただく。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年11月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。