解散風をもう一度吹かしておこう

早川 忠孝

安倍首相は12日、来日中のインドのモディ首相と兵庫県を訪問(首相官邸サイトより;編集部)

衆議院の解散風が止んだかと思えば、またまたおかしな空気になってきた。

アメリカの大統領選挙が終わったばかりだが、トランプ氏が勝利を収めたので、選挙は何が起きるか分からない、という疑心暗鬼が永田町や霞が関周辺に広がり始めたような気がする。

何が起きるか分からないという思いが支配するようになると、先行きの見通しが付く今のうちに、という思いがもたげるものである。

安倍内閣の閣僚や党執行部の中に多少物議を醸すような発言をする人がいるが、とても世間を騒がすような大騒ぎにはならない。

客観的に見れば安倍さんはよくやっているじゃないか、というところだろうから、自民党の中から倒閣運動が起こるような要素がなく、他方、野党側からも安倍内閣の退陣を求める声も上がらない。

私が見ている限りでは、政権党に対する失望感や怒り、反感などが広く国民の間に拡がっている、という様子もない。

今ほど現状肯定的な雰囲気はないのではないか、と思うほどに、凪の状態が続いている。

民進党がすっかり守勢に回っていることは、明らかである。

現時点で、野党に対する国民の期待感が殆ど感じられないのだから、選挙のことだけ考えれば、今ほど政権党に有利な状況はないということになる。

何が起きるか分からない1年後に賭けるか、それともある程度先が読める今に賭けるか、という選択になると、大体の人は先が読めそうに思える今、に賭けるはずである。

小池新党が動き出さないうちに、維新と小池さんが手を結ばないうちに、橋下、河村、小池連合軍が起ちあがらないうちに、新しい選挙区割りが始まらないうちに、トランプのアメリカが本格的に動き出さないうちに、などなど、政権政党として早目に手を打ちたくなる要素は沢山ある。

まあ、安倍さんが何を考えるか分からないが、アメリカの大統領選挙で自民党はしっかり学んだはずである。

一寸先は闇、と思えば、まだ日の明るいうちにと先を急ぐものだ、ということを、念のためお知らせしておく。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年11月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。