業者とのコミュニケーションが難航。自治体が民泊の規制強化に踏み切る日は遠くない

伊藤 陽平

本日は議会でも質問を予定している民泊についてお話させていただきます。

シェアリングエコノミーの成長が、世界的に注目されています。
日本でもUberやAirbnbなどのサービス名も広く浸透してきました。

新宿区のような観光都市では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、多くの来街者に街へお越しいただくことになるでしょう。
外国人観光客にとって利便性の高い交通手段としてUber、宿泊施設が供給不足となることへの対策としてAirbnbなどのサービスが国内でも注目されています。

こうした新サービスでは外国人観光客の利用がフォーカスされますが、日本人にとっても新たなビジネスチャンスとなることや、安くアットホームな雰囲気で旅行を楽しむことができるのでメリットは十分にあると言えます。

さて、行政や議会においても民泊についての取り組みがはじまっています。
私も傍聴させていただきました、先月「新宿区民泊問題対応検討会議」が発足し、活発な議論が行われました。

この検討会議は、国が法律制定により規制緩和を行うことを見通して新宿区内で議論を行うことで、区独自のルール、つまり条例をつくろうという会議です。

この会議では民泊のことがポジティブに捉えられているわけではなく、大田区等の特区外で行なわれている無許可民泊、また外国人観光客等がゴミの処理がうまく行うことができないなど近隣とのトラブルに注目が集まっていました。

実は民泊に関する苦情は4月〜9月だけでも115件。
新宿区の街の特性からも無許可民泊が集中し、結果として住民からの苦情が多発しているため、すでに昨年度の年間件数95件を上回る状況です。

こうした背景からも、国に先行して検討会で議論が行われていることは素晴らしいことです。

一方で学識経験者や地元町会、商店街等の方からご意見をお伺いすることができても、民泊を求める方が会議の構成メンバーではないため、規制する以外の選択肢はないと考えています。

本来であればAirbnb等の事業者と対話をすることで条例制定の前に自主規制の方向性を見出すことがまずやるべきことです。
Airbnbの運営母体が国外の企業であるため、自治体だけでなく国レベルでもコミュニケーションが難航しているのが現状ですが、今後は改善が必要となります。
また、物件を管理している事業者に関しては主に自治体が対応することになりますが、現場へ訪問しても業者が不在であるため接触すること自体が難しい場合が多いそうです。

セキュリティ(鍵)やゴミ問題など具体的なオペレーションの過程でコストをかけずに改善できることはあるはずで、検証が必要です。

実際に現場でオペレーションを体験する必要があると考えているので、特区民泊を行っている大田区あたりでAirbnbを利用(政務活動費は一切使いません!)しようと現在スケジュールを調整中です。

新産業に挑むベンチャー企業は、常に規制との戦いが待っています。

私たち政治家には、時代の変化を察知し自治体に利益として還元できるよう企業や来街者の実態と向き合いながら議論を前に進めていくことが求められています。

それでは本日はこの辺で。