不動産投資ブームが到来して何年が経つだろうか。最近、女性の不動産投資家が増えていると聞く。夫にはナイショで資産形成を考えて始めるケースが多いようだ。しかし、不動産投資はリスクもつきまとう。必ず滞納者が一定割合で出現する点だ。
『子育てアラフォーママはまだまだ夫にナイショで家賃収入1億円突破! 』(扶桑社)の著者であり、不動産投資家の、 内本智子(以下、内本氏)は、自力で購入をはじめ、8棟148室、資産16億円、満室時の収入は1億2000万円を所有する。今回は、家賃を滞納されたときの対応策について聞いた。
■1円も払わない滞納者が出現したら
――家賃を払わない人は必ず出現する。だから、空室が埋まったからといって気を抜いてはいけない。内本氏も家賃滞納者に苦労したことがあるらしい。
「ある物件の話ですが、契約者の男性はどうやら女友達に又貸しをしていたらしいのです。喧嘩でもしたのでしょうか、女性が『家賃も払わないし退去もしない』ということで落ち着きました。管理会社が『未払いなので鍵を替えますよ!』いう張り紙をしたところ、すぐ退去しました。とはいえ、未払い賃料が10数万円あり、少しずつ支払ってもらっていたのですが、その後音信不通になり回収不能になりました。」(内本氏)
「もう1件は法人でした。私か購入する半年前に入居してから、なんと家賃を1円も払っていませんでした。社長がテレビ出演もしている名の知れた法人で、とてもお金に困っているとは思えません。」(同)
――この状態だと、前オーナーも滞納されていたことだろう。内本氏が滞納督促をすると次のような状態だったそうだ。
「放っておくわけにもいかず、家賃支払いの督促は管理会社にしてもらっていましたが、何度問い合わせをしても、暖簾に腕押し的な状態がずっと続いたので、仕方なくその法人へ自分で直接電話をしました。『社長か専務を出してください!』と言っても『ちょっと今は出張でいません』とはぐらかされるばかりでした。」(内本氏)
――結局、いくら督促しても支払いがないため、管理会社の顧問弁護士に相談して内容証明を送ったそうだ。ようやく法人から振り込みがあったのが半年後で、10万円ずつ2回に分けて振り込んできた。
「埓が明かないため、その法人に『もう明け渡し訴訟しますから』と宣告したところ、さらに半年後にようやく退去。滞納裁判や明け渡し訴訟をしても、そのくらいの期間がかかると聞いたことがあります。私と同じように滞納で苦しんでいる大家さんは多いと思います。パーセンテージでいえば2%の割合で滞納者がいると聞きます。」(内本氏)
――内本氏は、このような滞納に備えて滞納保証会社をつけなければと思い、この物件の購入以降の入居者に加入してもらっている。また、滞納裁判と少額訴訟、それに孤独死をひとりで処理できたら一人前の大家と言われるとの事。管理会社からも「大家さんすごい!」と一目置かれるようになる。
「滞納や孤独死は一定の割合で起こりうることです。そこをきちんと処理できるように解決手段を見つけておくなりして、準備しておくことは必要だと思います。」(内本氏)
■信頼できる管理会社をパートナーに
――小額訴訟(60万円以下)などは代理人に依頼をすると数10万円のフィーが必要になる。しかし被告が望めば通常の裁判に移行する。被告には小額訴訟によるか通常訴訟によるかの選択権が保障されているためだ。そう考えると、訴訟は慎重にならざるを得ない。
「購人後すみやかに満室経営を目指すためには、しっかリ物件を管理してくれる管理会社と、入居者を募集してくれる客付け会社を見つける必要があります。まずは自分で客付け会社を探す方法です。管理会社と違って1社に絞る必要はありません。地域のニーズを調査しながら、複数の業者さんと円満に付き合うことが大切です。」(内本氏)
――しかし、万が一、投資が失敗したら、売却し早期に損切りをしてリセットする必要性がでてくる。失敗しないための対策が必要であることは言うまでもない。
尾藤克之
コラムニスト
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