今、私が横浜アリーナを推さない理由

川松 真一朗

BSフジ「プライムニュース」より(編集部)

こんにちは。東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。

さて、昨夜はBSフジのプライムニュースに都政改革本部の上山信一顧問や都議会オリンピック特別対策委員会のメンバーと出演しました。当初は2時間の枠でしたが、朴大統領のニュースで1時間に枠が変更となりました。反町さんの切れ味は鋭かったですね。

ご承知の通り、4者協議では都が新設する3施設について「海の森水上競技場」「アクアティクスセンター」は決定。残るはバレーボール会場となりました。私はこのブログや講演でも主張してきていますが「有明アリーナ」は必要施設という認識です。

今回、ボート・カヌー競技場を巡っては「長沼」が突然に浮上し宮城県は村井知事を筆頭に大きな盛り上がりを見せました。しかし、一転し長沼案が落選となり地域の皆様にとっては落胆の思いもあるようです。そもそも、私は水上競技場選考過程を踏まえ、そして宮城県の財政負担が見えない事と併せて「長沼」案には反対してきました。

実際を振り返ると全国から10の会場候補地から絞って「海の森」に辿り着いて来た経緯があります。私自身も当初は「海の森」新設には疑問符が付き国内の別会場を模索していました。勿論、戸田漕艇場もあれば彩湖、あるいは相模湖、潮来なども出来ないものかと。ただ、諸条件が整わず「海の森」に集約してきたわけです。故に、今回の2択では圧倒的に「海の森」が優勢で「長沼」案を実現させる智恵が私には浮かびませんでした。

これは各所の講演でも述べてきた事ですが、「復興五輪」という考え方は石原さんが五輪再招致を始めて以来、大事にしてきたコンセプトです。ですから、その哲学は重視したい。でも、今の「長沼」では課題が多過ぎるので、登米の皆さん、宮城県の皆さんが期待すればするほど逆の結果になった時が心配だったわけです。ただ、今回ボート出身のコーツIOC副会長が事前キャンプ地として考える意向で合意したようですから、次の展開が見えてきました。私は全国各地の様々な方から事前キャンプ地の相談を受けますが、基本的には「そこでやる」と決める国や競技団体が現れないと実現しません。その意味でコーツさんが長沼の応援団になった事は喜ばしい事です。

では、同様に「横浜アリーナ」を考えます。昨日の番組では、私だけが明確に横浜を否定し、他の出演者は横浜を推しました。私には積み重ねた議論があります。だから、「有明アリーナ」の建設を望むのです。一義的には、五輪時に使用する代案が無いという事ですが、その先には「有明北地区」発展に大きく貢献する施設だという信念があります。有明の中でも「北地区」は臨海部で一番新しい埋め立て地で、まだ何も出来上がっておらず、これから次世代の都市型住宅を描いていくエリアです。小学校も建設予定で、地域には大学も複数あります。上山顧問も地域の繁栄を考えるという点は小池知事も捨てていないという事ですのでクリスマスまでに智恵を出し合って「夢と希望あふれる」東京を実現したいなと考えます。

前置きがだいぶ長くなりましたが、「横浜アリーナ」も長沼のボート場同様、大会準備過程において一度浮上した事がある施設です。私達は平成26年に会場見直しを行って約2000億円の削減に成功しました。その際に、バスケットボール会場は新設の体育館建設を取りやめて埼玉県にお願いし「さいたまスーパーアリーナ」に変更と致しました。

この時、バスケ会場の候補地として「横浜アリーナ」が入っていたのです。検討では、競技面や運用面で課題がありました。例えば、増席分となる観客席の確保が本当に出来るのか?ウオーミングアップエリアが施設内で1面しか確保出来ず選手控え室等の設備が十分でないことなど。運用面では、運営諸室等の面積確保が困難であるうえに敷地内では仮設施設利用等の面積が不足し、周辺の土地を使用しなければならない。時には公道利用も考えられ周辺住民への影響が大きくなりそうな雰囲気もあること。また、警備体制の検討も必要性が高かった事などもあり、横浜アリーナはオリンピック競技会場としては使用出来ないという結論を出したわけです。この点は、過去の再検討・諸般の事情を上山顧問は認識しているとCM中に仰っておりました。

ここは強調しておきますが、私も横浜アリーナは既存施設だし使いたいと思った過去があります。その場合には、アリーナ使用料+小規模な施設整備の費用にとどまります。圧倒的に素晴らしいです。前にも書きましたが私にとっては思い出が沢山ある横浜アリーナです。ところが、物理的には課題が大きな施設であることと、2年前の再検討で結論が出た地だけに、この議論を前提として市民の皆様に「バレーボール会場案」をお伝えせずに、また横浜市民に過度な期待だけを持たせてしまうのは私の人生哲学からは考えられません。こういう事をやっているから政治家はマイナスな印象しかなくなり子供たちのヒーローになれないんだと思っています。

世界の都市ランキングで東京は3位になりました。ロンドン、ニューヨークを追い越して一番になるのも夢ではなくなっているのです。どれだけ多くの方が全世界中で東京オリンピックに関わっているか想像はつきませんが、少なくとも私達はオリンピックはゴールではありません。オリンピックの先も東京や日本に責任を持っていくのです。幸いな事に私は都議会自民党最年少の35歳です。五輪開催後も10年20年あるいは半世紀も何も無ければ寿命があるでしょう。未来に責任を持つのは当たり前です。今の子供たち、これから生まれてくる子供たちに「東京2020」が成功体験として語り継がれるようにしければ自分自身の存在価値もなくなるわけです。

2019ラグビーワールドカップ、2020大会の過去・現在・未来に責任を持つ。言葉は悪いけれども30年先におられない方責任を持たない方もオリンピックに集まって来られる方の中には沢山いるでしょう。そういう30年先の責任を、使命を胸にいつも持っているからこそあれやこれやと考えて夜も眠れなくなるのです。

私には五輪会場を決める最終的な決定権はありません。しかし、バレーボール会場が決まるまで、何も依らずニュートラルにベストだと考える政策提言をして参ります。最終的に全てが決まればその方向で「オールTOKYO」が一つになって大成功へ向かって走り続けるのみです。


編集部より:このブログは東京都議会議員、川松真一朗氏(自民党、墨田区選出)の公式ブログ 2016年11月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、川松真一朗の「日に日に新たに!!」をご覧ください。