IRカジノ法案に対する声明

田中 紀子

厚労省で記者会見した田中氏、宇佐美典也氏ら(NHKより引用)

昨日、午前11時に、厚生労働省でIR法案が内閣委員会で審議入りしたことに対して、記者会見させて頂きました。

今回のIR法案に対する私どものスタンスは、従来のものと何一つ変わっておりません

カジノに対しては賛成でも反対でもありません。
けれどももしカジノを日本に作るのであれば、ギャンブル依存症対策に万全を尽くして頂きたく、そのために絶対に外せないのは、既存のギャンブルつまり公営競技・遊技・宝くじを含めた、ギャンブル依存症対策を行って欲しい!ということです。

この既存ギャンブルを含めた対策が出来ないのであれば、まだ存在すらしていないカジノだけのギャンブル依存症対策をしたところで、今現実に起きている問題の解決になんてつながりません。

それをもって「依存症対策をした!」と言って、カジノ建設を進めるようなことはやめて頂きたいです。

カジノだけのギャンブル依存症対策なんて、ちんまりしたものは何の意味もないです。

けれども、本当に既存ギャンブル、とくに重要なのは、現在ギャンブルとも認められていない、遊技とされているパチンコに対しても、ギャンブル依存症対策が適用されるとなったら、それはものすごく画期的なことだと思っております。

ある意味、日本ではパチンコには誰も手を付けられない、聖域だったわけですから。

また、審議期間が早いか遅いか、どう思うか?
というご質問も沢山いただきますが、現在の国会の状況を鑑みるに、別に長ければ良いというものでもないと思っています。

失礼ながら、先日の内閣委員会なんてひどかったですからね。
民進党の先生方はボイコットされちゃうし、自民党の先生からはカジノ法案に全く関係のない、「般若心経」の話が飛び出し、それが延々と続くんですよ。

ここはカルチャースクールか?と思いました。
嘘だと思うなら、どうか内閣委員会のネット中継を聞いてみて下さい。
34分頃から始まります。
衆議院内閣委員会2016.11.30
ボイコットとカルチャースクールで、何時間やったって仕方ないじゃないですか。

NHKより(編集部)

そんなことより、短い期間でも良いから、大事なこと
「ギャンブル依存症対策は、既存ギャンブルにまで及ぶのか?」
ということを明確にして頂きたいですね。

それともう一つは、現在日本のギャンブルは、所管する省庁がバラバラなうえに、規制と振興が一体となっているため、ギャンブル依存症対策が全く取られていないんですよね。

ですから、その管轄を越えて、ギャンブル依存症対策を、きちんと推進する部署を作るべきだと考えています。

この今まで誰も出来なかった依存症対策が、今回のIR法案をきっかけにできるのかどうか?
私たちとしてはそれが知りたいです。

そしてそれを口約束ではなく、法案に盛り込むか、はたまた国会で安倍総理に確約明言して頂きたいです。

果たしてIRは、ギャンブル政策の起爆剤となる画期的法案なのか?
それとも、従来通りの既得権だらけの、依存症製造所となるのか?

私たちも可能な限りの働きかけをしていく所存です。


編集部より:この記事は、一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2016年12月1日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。