アゴラ読者は蓮舫とともに日本政治史に記憶される

八幡 和郎

 

12月21日に発売予定の『蓮舫「二重国籍」のデタラメ』(飛鳥新社)の前書きの一部です。飛鳥新社は月刊hanadaを刊行している会社で、私が9月に書いた蓮舫問題についての記事をもとに膨らませているので、花田紀凱編集長にご指導を戴きタイトルも付けてもらいました。その前書きの書き出しの一部を紹介すると以下のようになっています。

「蓮舫の二重国籍をめぐる疑惑と驚くべき事実の発覚は、二つの意味で、日本の政治史上でも画期的なものだ。

第一は、「国籍」という、島国の住人にとって切実に意識することのなかった問題を意識させたことである。(中略)そして、第二は、この問題の指摘がインターネット上で行われ、一般紙もテレビも、週刊誌すらほとんど報道しないまま、夕刊紙の『夕刊フジ』とネットメディアの「アゴラ」が一般読者の協力を得ながら追い詰めて、ついには本人に二重国籍だったことやその内容が悪質であることを告白させたことだ。

当然に、インターネットを通じてニュースを読む習慣のない国民は置いてきぼりをくらった。すでに、その1か月あまり前の東京都知事選挙では、鳥越俊太郎氏の淫行疑惑が『週刊文春』によって暴露され、これも新聞・テレビは置き去りにされたのだが、今回は週刊誌すら追いつけなかった。なぜなら、事態が数時間単位で変化するので、締め切りと発売日に3日ほどのタイムラグがある週刊誌では、記事が発売時点で陳腐化せざるを得なかったからだ。」

この本は、二重国籍が主で、メディア論も事件の展開の背景として書いてあるのですが、それに対して、アゴラの新田編集長が、「蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた? – 初の女性首相候補、ネット世論で分かれた明暗 -」 (ワニブックスPLUS新書)は、メディア論を主にして、二重国籍問題も扱っています。

新田 哲史
ワニブックス
2016-12-08

 

本の宣伝としていえば、両方を購入して読んで頂いて、重複していると後悔されるような事はないと思います。

8月から9月にかけてのアゴラを主たる舞台にして起きた出来事についても、私のほうは時系列で書いてますし、新田氏のほうはメディア論として整理して書いているのが違いです。

しかし、いずれにせよ、新聞・雑誌・テレビといった在来メディアと違って、ネットメディアの特徴は、読者が一緒に流れをつくっていくことだと思います。

そして、今回の流れで言うと、新田編集長がネットメディアの特質を理解され、それをフルに利用されたことが決め手でした。私自身の手法は、やはり通産官僚としての立場に加え、また、留学先のENA(フランス行政学院)でフランスの官僚として鍛えられたものです。

展開を読みながら、さまざまなルートで情報を集め、裏も含めて情報集めだけでなく交渉をしながら相手を絡め取っていくのが霞ヶ関流、あるいはヨーロッパ官界の交渉術です。

一方、アゴラ主宰者の池田信夫氏はNHK出身でありながらその枠からはみ出した異色のジャーナリストです。後ろを気にしながらの官僚的交渉術ではなく、攻め込めるところがあればどんどん弾を打ちこんできます。

そうした二人の個性を活かし、使い分け、また、そこに読者からの情報をフィードバックしていくという交通整理を見事にされていったことが、新田氏の著書をみるとよく分かるわけです。

新田氏の本では蓮舫の最悪のメディア対応と、それと対を成す、小池百合子のライバルとは一頭地抜いた見事なメディア戦術との比較もされています。

アメリカでは、トランプがヒラリー陣営より明らかに少額の資金で大統領を勝ち抜きました。ネット選挙はともかく資金が要りません。それもあって番狂わせの原動力となっていきそうです。

そういう意味では、政治家を志す人々にとっても、何かのテーマで世の中を動かそうとする人にとってもそれぞれ必読の書だと思います。