ハートネットTVをご覧いただいた方、ありがとうございました。
私よりも、妻の株が上がった番組内容でした(笑)
妻の手紙の中の一節を紹介します。
『私(娘)、僕(息子)、ママは、パパの犠牲にはなりません』
『私(娘)、僕(息子)、ママは、パパを犠牲にはしません』
これが妻と私の約束です。
家族なら介護することが、当たり前のように求められます。しかし、本当にそれで幸せに生きられるのでしょうか?少なくとも、私の答えはノーです。
いくら愛情があっても、人間には体力的・精神的な限界があります。
例えば、夜は家族がいるから、ヘルパーが入る必要はないという考えが、普通に言われます。実際に家族がやっていることが多いと思います。
しかし、人工呼吸器をつけたALS患者は、もし人工呼吸器にトラブルが起きたら、5分であの世いきです。毎晩そんなプレッシャーに晒されたら、少なくとも私はとても耐えられません。
しかも、家族には当然昼間の生活もあるので、慢性睡眠不足に陥るのは必然です。肉体的にも精神的にもボロボロになる家族の姿を想像したら、誰だって死を選ぶことを考えるし、それを思いとどまらせるのは難しいです。では、誰も犠牲にならないためにはどうしたらいいのでしょう?
そこで私が提唱したいのが、『完全他人介護』です。筋論で言えば、本人になんの落度なく罹患した病によって失われたものは、きちんと家族に負担をかけることなく、現状回復されるべきです。夜だけではなく、土日休みも同じです。家族での外出や食事といった家族団らんを負担なくやるには、ヘルパーの力が不可欠です。
私は、家族が介護を頑張ってしまうことで、ヘルパーへの需要がかき消されていると思います。しかし、明確な一定以上の需要があることがわかれば、必ず働き手はあらわれるはずです。我慢すべきことではなく、雇用を創出することにつながると思います。
完全他人介護は、簡単なことではありません。想像してみてください。自分の大切な人の世話を、完全に他人に委ねるのです。愛情が深ければ深いほど、受け入れ難いことだと思います。
しかしそこまでしなければ、患者の心に寄り添うことができなくなっていくのです。
そこまでしなければ、患者と家族は、普通に笑い合い続けられないのです。
『完全他人介護』
多くの人に笑顔を取り戻すはずです!
【再放送あります】
12月12日(月) 13:05~13:34
Eテレ ハートネットTV
自分のゴールに向かって生きたい ーALSと闘う 恩田聖敬ー
株式会社まんまる笑店
代表取締役社長
恩田聖敬
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この記事は、株式会社まんまる笑店代表取締役社長、恩田聖敬氏(岐阜フットボールクラブ前社長)のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2016年12月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。