都議会議案に腑に落ちない点があって

川松 真一朗

江戸東京博物館にある江戸期の街並みを再現したジオラマ(Wikipediaより:編集部)

おはようございます。東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。

昨日は都議会文教委員会でした。ここでは今定例会に上程されている206号議案「東京都江戸東京博物館外5施設の指定管理者の指定について」を取り上げ質疑に立ちました。簡単に申し上げると、都立文化施設の指定管理者を東京都歴史文化財団に特命で指定し期間を4年とする議案です。

文化事業は重要施策

私は都議会議員に当選以来、文化事業にこだわって議会活動を繰り返して参りました。過日の委員会でも 文化事業が新しいTOKYOの輪郭を描くという信念を持って意見表明したばかりです。実は、当初、都立文化施設が東京都の文化政策と密接に連動した重要な役割を果たすとともに、安定的・継続的で質の高いサービスを提供する必要があることから、指定期間を10年間として審査委員会による審査が行われ、東京都歴史文化財団が指定管理者として適当であるという審査結果であったと聞いていたのです。にも関わらず、今回突然4年となった理由について納得しないと、賛否の判断が出来ず、この議案が浮上して以来、悩み悩んでの質疑でした。

世界最多の観客動員記録・東京都美術館

私自身が東京都の文化事業は「凄い!」と率直に感じたのが平成24年に世界最多の観客動員数を記録した東京都美術館における「マウリッツハイス美術館展」。フェルメールの青いターバンの少女が目玉作品で、あの時は上野の街一帯がフェルメールで覆われていました。昨日の質疑で確認しましたが、この世界的ヒットとなった展覧会企画は開催準備に4年程度かかったということ。また、文化会館におけるオペラ等の舞台芸術では5年かかるものもある事が明確に。準備期間の必要性・専門人材の重要性が分かりました。

地域と連携した施設運営

また、池袋に東京芸術劇場がありますが、こちらは平成21年に野田秀樹芸術監督を起用、平成24年にリニューアルオープンを経て生まれ変わった施設です。地元の豊島区や立教大学と連携した地域の賑わい作りに貢献しています。恵比寿の東京都写真美術館は福原名誉館長が、恵比寿のまちづくりを念頭に置いて丁寧に職員を指導してきています。江戸東京博物館も竹内名誉館長の卓越したリーダーとしてのきめ細かい職員教育で専門能力を一人一人が磨いてきたのです。

つまり、私がこの議案について、気になって腑に落ちない最大の理由は、指定管理者の短期間での交代は指定管理者の方針や体制も変わり得るということであり、これまでの取組もゼロからやり直しという事になりかねないから、10年を4年へと無理矢理に変える事には???になってしまうわけです。

下記が委員会において、私が発言した事です。速記録ではないので、東京都の答弁内容は速記録が出来上がって来るのを待つしかありませんので、私の部分だけ抜粋しておきます。

監理団体改革論の中で

で、結局4年にした理由について、はっきりとした答弁を頂けませんでした。しいて触れるならば、東京都歴史文化財団を含む監理団体の指導監督等について都政改革本部で検討や見直しを行うという事を踏まえて、いかなる方針が出されても速やかに対応していくことを考慮して4年としたという事です。この辺の説明は分かりづらく、委員会室がザワザワしました。私なりにまとめると都政改革本部が立ち上がった事で、その動向を注視していく中で4年という結論に至ったという事です。

私は、その事業局として一番実態を知っている職員達だけに、ちゃんと話をして欲しかったと思うわけです。小池知事がよく仰るサステイナブル(持続可能)な文化事業はここにないのか?知事が言う「beyond 2020」という観点でも、東京文化プログラムの目標は2020年を契機として世界で一番の文化都市実現にまっしぐらだからこそ、4年というのは私の見解ではあり得ないのです。

今、確かに「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」の東京都との関係をめぐって俄に注目を集めている監理団体。今週の都議会本会議でもチラチラと言及される議員がおられました。ただ、一口に監理団体と言っても色々とあるわけです。私は江戸東京博物館が建設中から身近にありましたので、これまでの様々な取組みについては特に力を入れてみてきたわけです。上記に書いたような企画展の運営だけでなく、街と一体となった取組み。「両国にぎわい祭り」は構想段階時にはしょっちゅう江戸博の会議室で議論を重ねて参りましたが、今ではGW中に、しかも日本相撲協会のご協力もあり横綱審議委員会・総見稽古が一般公開となった事で連携しながらのイベント開催となっています。こういう一つ一つの取組が評価されたからこその10年であったわけで、いきなり監理団体改革の波に飲み込まれるのは如何なものかと思います。

文化事業が世界で1番の都市へ押し上げる

昨日のブログ「世界で一番の都市実現へ「有明アリーナ」整備を!!」有明アリーナの活用策について触れる中で、世界の中で文化事業について東京が劣勢という指摘をしました。都立施設は他の施設と比べても劣る事の無い素晴らしい施設です。ですから、東京の弱点克服に向けては「ソフト面」の充実が大切で、専門員の確保、育成は必須です。だからこそ私はソフトの確立に向けて、東京都歴史文化財団の今後に期待していたわけです。

簡単にまとめると以上の通りで、最後にこれから都政改革本部で議論を展開していく上では、今日のやり取りを全て踏まえて、よく話し合って最善の結果へと向かって頂きますようにと強く要望したところです。

これは私1人がこだわってきた事ですが、委員会後に他の先生方からも、私がこれまでの経緯を明らかにした上での思いに賛同の意が寄せられました。ただ、議案に対して賛成するか反対するか、採決まで逡巡しそうな勢いです。大変に複雑な思いです。来週には結果が出ます。

↓昨日の質問はこんな感じでした。

都立文化施設の指定管理者の指定について

都立文化施設の指定管理者の指定について伺います。

私は、文化施設は、単なる施設管理とは異なり、収蔵品の収集・管理、展覧会や公演等の文化事業を着実に展開する拠点であり、その運営には高度な専門知識が必要であり、専門人材の育成や確保にそれなりの期間を要するものであると思います。そのため、できるだけ指定管理者の指定期間については長い方が良いと考えています。

そのような中で、都立文化施設の指定管理者の指定にあたり、指定期間4年という議案に対し、一議員として賛成・反対の態度を決めかねています。

そこでこれまでの考え方や現状について、改めて確認するため、質問したいと思います。

Q1 まず、現在、東京都歴史文化財団が都立文化施設の指定管理者として施設運営をしておりますが、現在の指定期間とその考え方などについてお伺いします。

Q2 では、次に、今の答弁についてより具体的に伺います。

例えば平成24年に世界最多の観客動員数を記録した、東京都美術館における「マウリッツハイス美術館展」などの展覧会や、文化会館等のホールでの公演の準備には一定の時間がかかるということですが、事業実施にあたっては、およそどれくらいの準備期間を要するものなのか。また、あわせて、関係機関との調整や事業の企画立案の中核を担う学芸員等の専門人材のノウハウは、どのように活かされているのか、伺います。

Q3 ところで、池袋にある東京芸術劇場は、東京都歴史文化財団が指定管理者として運営し、平成21年からの野田秀樹芸術監督の起用や平成24年のリニューアルオープン等を経て、非常に大きく生まれ変わり、稼働率も高いと聞いています。どのように変化したのか、また、ホールの稼働率は現在どれくらいなのか、伺います。

先日の事務事業質疑で、都立文化施設と地域との連携についてお伺いした際、答弁いただいた恵比寿映像祭は、東京都写真美術館が、近隣の企業やギャラリー等と連携して取り組んでおり、今年度で9回目を迎えるとのことでした。

また、我が地元墨田区にある江戸東京博物館も、両国にぎわい祭りなどを通じて、地域との連携に時間をかけながらも積極的に取り組んでいます。ただ今の質疑により、東京芸術劇場でも、地域と連携した取組に非常に熱心に取り組み、文化を通じたまちづくりに貢献していることがわかりました。

これまで色々質問してきましたが、文化事業の企画の準備や地域との関係性の構築は非常に時間がかかるものであり、一朝一夕にできるものではないことが改めて確認できました。実際に、質の高い事業を実施するため、東京都歴史文化財団は、単なるハコもの施設管理ではなく、事業内容やサービスなど、ソフト面を、時間をかけて充実させてきていると私は評価しています。創意工夫に満ちた事業の着実な実施の背景には、長年の経験の積み重ねや専門分野の調査研究など、地道な取組の継続があり、そうした見えにくい努力こそが非常に重要であると思います。

また、我が地元の江戸東京博物館のこれまでの取組は、竹内名誉館長という素晴らしい館長・指導者がきめ細かく職員を教育し導いたことで専門職員の能力がさらに光ったものであり、写真美術館の恵比寿映像祭についても、福原名誉館長が、恵比寿のまちづくりを念頭に置き、丁寧に職員を指導してこられた成果です。指定管理者の短期間での交代は、指定管理者の方針や体制も変わり得るということであり、これまでの取組もゼロからやり直し、ということになりかねません。

Q4 そこで今回、当初、都立文化施設が、都の文化政策と密接に連動した重要な役割を果たすとともに、安定的・継続的で質の高いサービスを提供する必要があることから、指定期間を10年間として審査委員会による審査が行われ、東京都歴史文化財団が指定管理者として適当であるという審査結果であったと聞いております。当初10年間の指定期間を目指したところ、なぜ4年としたのか、改めて伺います。

2020年に向けた文化プログラムの展開にあたり、これまでの実績を評価し、東京都歴史文化財団に任せるということは理解できるが、2020年の後のレガシーも大事であり、2020年から飛躍していこうとしている中で、4年間で区切るのは残念である。

これまで、東京芸術文化評議会などにおける議論や、様々な改革を経て、施設の活性化が図れ安定的に運営されるなど、ようやくここまでたどり着いた。それを大切にしてほしい。

都立文化施設を芸術文化の創造発信拠点として、その機能を最大限に活かすためには、これまで、東京都歴史文化財団が、長年培ってきた人材、事業運営のノウハウ、関係施設等とのつながりを、今後も大いに活用すべき。文化事業は人こそが財産である。今後の議論の中では、専門人材の育成・確保の観点をより重視して入れて欲しい。

また、今後の議論に際しては、文化施設のように都政との政策連動性の高い施設に対しては、民間事業者に競争をさせ短期間で指定管理者を交替させる手法は適していないという点についても、しっかり踏まえて検討していただきたい。

本年10月に森記念財団都市戦略研究所が発表した「世界の都市総合力ランキング」で東京は3位へと順位を上げました。これは様々な角度からスコアをつけているわけですが、今日言及しておくのは分野別ランキングの「文化・交流」とアクター別ランキングの「アーティスト」という項目です。

総合で3位となった東京ですが「文化・交流」ではロンドン、ニューヨーク、パリ、シンガポールに次ぐ5位。「アーティスト」ではパリ、ニューヨーク、ウィーン、ベルリン、ロンドン、バルセロナに次ぐ7位となっています。

当然、都内には公立施設、民間施設が多数ある中で、今日議論して参りました都立文化施設はそのどれもが世界と戦っても劣る事の無い素晴らしい施設であると認識しています。それだけに、これらの施設について世界で一番の東京実現に向けて重要なのは、正にソフト面の充実です。だからこそ、これは政策連動性の高い施設として、これまで東京都歴史文化財団に運営を委ねてきたのではないでしょうか。是非、これから都政改革本部で議論を展開していく上では、今日のやり取りを全て踏まえて、よく話し合って最善の結果へと向かって頂きますよう強く要望して質問を終わります。


編集部より:このブログは東京都議会議員、川松真一朗氏(自民党、墨田区選出)の公式ブログ 2016年12月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、川松真一朗の「日に日に新たに!!」をご覧ください。