これでいいのか!非公開で「もんじゅ」後継炉の開発が決められていた‼︎

田原 総一朗

僕は、ほんとうに腹を立てている。高速増殖原型炉「もんじゅ」のことだ。つい2カ月ほど前、僕はメルマガで、「お粗末すぎた『もんじゅ』の運営は、日本の原子力問題の象徴だ」と書いた。今でも強くそう思っている。

高速増殖炉では、燃やした「燃料」、すなわちプルトニウムを再処理し、ふたたび原発の燃料として使用できる。だから、当初は「夢の原子炉」と呼ばれた。研究開発用の原型炉が「もんじゅ」だ。しかし、その開発の経緯は、お粗末としか言いようがない。

1995年にナトリウム漏れ事故が発生。しかも、当時、運営母体であった動燃は事故を隠ぺいしていた。その後、もんじゅは運転を休止、2010年に試運転を開始したが、今度は部品が落下し、またもや運転を止めた。2012年には機器の点検漏れが9679個あったことが発覚した。

約1兆円もの国費を投じながら、まさに、失態続きだった。これでは廃炉は当然だろう。ところが、である。政府は国民に今後を問うどころか、11月30日の非公開の会議で、「もんじゅ」の後継となる、高速実証炉の開発方針を示したのだ。

この実証炉は、「もんじゅ」のようにプルトニウムの増殖はない。だが、原理は同じだ。つまり、原型炉で失敗しておきながら、実証炉を造るというのだ。なんという無責任さなのだろう。しかも国民に何の説明もない。

その会議の出席者は、経済産業相、文部科学相、電気事業連合会、三菱重工業、そして「もんじゅ」の運営にあたる日本原子力研究開発機構だ。政治家と役人と身内同然の企業だけ、と言ってもいい。

以前にも書いたことだが、僕は原発に対して、完全に「ノー」という立場ではない。東京電力、経済産業省はもちろん、主なメーカーや学者にもたくさん会い、これまで取材を重ねてきた。だから、頭ごなしに技術を否定するわけではない。しかし、「原子力ムラ」と呼ばれる、閉鎖的な組織の在り方の問題性を、取材を通して僕は非常に強く感じた。

だからこそ言いたい。今回の、実証炉の開発を決めたようなやり方をするから、国民は原子力全体に不信感を持つのだ、と。「福島の教訓」は、まったく生かされていない、と僕は憤っているのだ。れてはいけないと思うのである。


編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2016年12月12日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。