プーチン大統領の交渉術をビジネスパーソンはマネしてはいけない

内藤 忍

首相官邸サイトより(編集部)

日本経済新聞によれば、12月15日に来日したロシアのプーチン大統領は、安倍首相との会談に2時間半遅刻したそうです。しかもこれはアクシデントではなく、大国ロシアのトップであることを誇示し、心理的に会談の主導権を握る思惑があるとしています。

一般のビジネスの世界でこんなことを意図的にする人はさすがにいないはずです。私の感覚では、例えば10時にアポイントメントがあったら、初対面のミーティングなら10時までに現地にいるのが必須。既に取引実績があったり社内のミーティングであっても、5分遅れまでが限界です。それを超えた場合は事前に電話やメールで一言メッセージを伝えるのが礼儀だと思っています。

電車が遅れたり、車の渋滞というのは仕方無い面もあるでしょうが、重要なアポイントメントであれば、想定外の事態も考慮して遅刻しないようにするのが常識です。

プーチン大統領の場合、遅れて行った方が交渉が有利になると思っているようですが、ビジネスの世界ではむしろ逆になります。遅れて参加すると、参加者に対して負い目が出来てしまい、場の雰囲気もわからなくなってしまいます。慌てて到着すると、精神的にも落ち着きませんから、良い結果になることはありません。ミーティングは部屋に先に入った方が良いというのが私の考えです。待っている間に、何をどういう手順で話すのかを、もう一度確認していれば良いのです。

ミーティングに遅れるのは良くないという話を書いてきましたが、例外は午後一番のアポイントメントと夜の宴席です。

13時からのミーティングがある場合、私は少し遅れ気味に行くようにしています。会社によっては昼休みが12時から13時までと決まっているところがあり、13時ぴったりやそれよりも早く来られるとせっかくの昼休みを邪魔してしまうことがあるからです。13時5分くらいに「遅れてすいません」とやるのが良いと思います。

また夜の宴席も、誘われた側が定時ピッタリに到着するのはちょっと無粋です。早く行くのは場所を予約して招く側であって、招かれた人は5分くらい遅れて行く方が喜ばれます。会場に早めに行ったら、招いた人がもう待っていたというのは何とも間が悪いものです。

時間に対する考え方は人それぞれですし、都会と田舎では違ったりするのかもしれませんが、時間の感覚が自分と合う人は仕事をしてもウマが合う場合が多いのも事実です。相手に不快感を与えないスマートな時間管理を常に忘れないようにしたいものです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年12月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。