政界の潮目が変わったように見えるのだが、さて如何か

講道館を訪れ、山下泰裕氏らと演武を見守る安倍、プーチン両首脳(首相官邸サイトより:編集部)

光の当て方で物事の見え方が大きく変わることがある、ということは大抵の人がご存知のはずで。

どこから見るかで違うのだから、まずは自分の立ち位置を確認しておくべきだろう。
北方領土問題や平和条約締結交渉という観点からすると、今回の安倍・プーチン会談は日本側の完敗だと見做されてしまうだろう。

マスコミがかなり期待値を上げてしまったものだから、官邸筋がしきりに期待値を下げるべくあれやこれや画策していた感があったが、それにも関わらず国民の間に相当の期待外れ感が噴出してきたのは止むを得ない。

もう少し何とかなるのではないか、と私も多少期待していたのだが、まあ、プーチン大統領からにべのなく突き放されてしまったような印象である。

この期待外れ感がどの程度安倍内閣の支持率や自民党の支持率を下げるか今の段階では分からないが、安倍さんにも自民党にも国民の期待度、支持率を上げるだけの目ぼしい材料がないようだから10ポイントぐらい支持率が下がるのではないか。

この状況では、とても衆議院の解散・総選挙は打てない。
安倍総理の頭の片隅にも解散はない、というのは正直な感想なんだと思う。

目論見が外れましたね、やっぱり失敗でしたね、と正直に感想を言ってあげるのが親切かも知れないが、それではこれまでの安倍内閣の努力に水を差すようなものだから、ここはほどほどのところの評価に止めておくのが武士の情け、というところか。

大した成果は挙がらなかったが次に繋がるから、まあ、よしにしておこう、というところである。
ダメだ、ダメだなどと大騒ぎをすると、せっかく芽生えた芽を摘んでしまうようなことにもなりかねないから、こういう時はオブラートに包んだような物言いをするのが礼儀である。

結果は出なかったが、まだチャンスがある。
来年もう一度チャレンジすることだ。
この程度の不首尾で意気阻喪することはない。

ロシアとの経済協力関係を深めていけば、少なくとも中国への牽制材料になる。
アメリカの出方次第で日本とロシアの平和条約締結交渉が急進展するかも知れないのだから、プラス志向で考えましょうよ。

まあ、そんなところだ。

まだまだ何があるか分からない。
ダメだ、ダメだ、などとは、やはり今の段階では決めつけない方がいい。

こういうことにかけては鈴木宗男氏を見習う方がいいだろう。
自民党の二階幹事長は、この問題についてはどうもちょっと冷たすぎる。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年12月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。