【映画評】バイオハザード ザ・ファイナル

瓦礫の中で目覚めたアリスは、アンブレラ社が開発した人工知能のレッドクイーンから「人類は48時間以内に滅びる」と告げられる。敵側であるはずのレッドクイーンからの救済手段の情報に半信半疑のアリスだったが、アリスはすべての始まりの場所ラクーンシティへと向かう。そのころ絶望的な数のアンデッドが地上を埋め尽くしていた。アンブレラ社の心臓部ハイブにあるのは散布用の抗ウィルス剤。そしてそこには、アリスの宿敵ウィスカーの姿も。しかし、アリスの前には、壮絶なバトルと想像を超える驚愕の真実が待ち受けていた…。

人気ゲームを映画化した大ヒットアクション・ホラー・シリーズの第6弾にして最終章「バイオハザード ザ・ファイナル」。ミラ・ジョヴォヴィッチの当たり役で、彼女が演じる美女アリスの雄姿の見納めかと思うと、何だか寂しくなるが、何事にも終わりはある。完結編ではあるが、ゲームの映画化らしく、障害物をひとつひとつクリアして最終目的地へと向かうプロセスは変わらない。すべてを収束するかのようにポール・W・S・アンダーソン監督は、ヒロインのアリスを、盟友のクレアと共に、始まりの場所であるラクーンシティへと向かわせる。

人工知能レッドクイーンが告げるアリスの出生の秘密は、ずっとこのシリーズを見てきたファンには、驚愕の事実というより「あぁ、やっぱりそうか」と思う、いたってまっとうなものだ。ただ、自らの存在意義を模索しながらも、常に戦い続けてきたアリスには、どこから来て(過去)どこへ向かうのか(未来)を見据えた、確かな回答が示されるから、安心してほしい。ちなみに、日本でのみ話題のローラの出演だが、一応セリフはあるものの、あまりにもあっさりと消えてしまうので、肩透かしだった。何はともあれ、因縁の場所で物語が無事に解決するのは、気分的にすっきりして喜ばしい。
【65点】
(原題「RESIDENT EVIL:THE FINAL CHAPTER」)
(アメリカ/ポール・W・S・アンダーソン監督/ミラ・ジョヴォヴィッチ、アリ・ラーター、ショーン・ロバーツ、他)
(有終の美度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年12月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。