膨れあがりそうな東京五輪経費だが、いちばん心配しているのは、東京都民以外が費用を押しつけられることだ。経費は組織委員会がもつが、それが無理なら東京都が、それも無理なら国が責任を持つということになっている。
組織委員会が持ちきれないことなど最初からわかりきっているのだから、東京都がもつということに決まっているはずだった。ところが、小池知事が責任をもってくれるかどうか怪しい。
そこで、問題になるのは、東京都が負担不可能だったらというところだ。私の理解からすれば、東京都が財政再建団体並みとまではいわないが、身を切る支出削減をして、それでもだめだったら国もということだと思う。
つまり、社会福祉を始め、全国レベルより高い施策は、止めてもらわねばなるまい。もちろん、デコボコはあってもよいが、基本的には子育てなども含めて、東京が全国平均より高い水準の施策をしていながら国に負担を求めるなどあってはならないことだ。
そのあたり丸川五輪担当相など遠慮がちでなく、はっきりすべきだとと思う。
東京都は大金持ちだ。首都として努力しなくとも人も金も集まっているのだから、しっかりしてほしい。
次ぎに費用削減策だが、四者会談のやりとりを聞いていると、IOCはもっと費用削減は可能だと思っているのに、日本側三者が難しいようなことをいっているように思う。
私はそこのところがポイントだと思う。日本側の費用削減は、現在の日本の法制の下でのさまざまな基準や手続きに合致する仕事を日本企業と日本人労働者がすることが前提になっていように思う。
しかし、ここは思い切って、たとえば、かなりのものを、中国の基準で、中国の企業に、中国人労働者を使ってやらしたらどうなるか頭の体操すればよい(ここは別の国でもよいのだが分かりやすくさせるために中国といっておく)。
もちろん、国内で完結させることのメリットはあるのだが、デメリットも多い。五輪準備のために東京地区だけで異常に多い建設工事をすれば、全国的にもの不足人手不足にな
だから、そもそも論でいえば、東北復興が終わるまで同じ東日本の東京で五輪をすることに私は反対していたのだが、当時の民主党政権が立候補を決めた(現政権も取り下げなかった責任はあるが一次的には民主党政権が東日本大震災にもかかわらず始めた話だ)。
それならば、東京五輪準備限定で、中国のスペックで、中国人を連れてきて、中国レベルの労働条件で仕事をやらしたらいいではないか。それは特区的な制度でやればよい。そこまでしないと革命的な費用削減は不可能だ。
実は、この考え方は、五輪関係に限らず適用可能だ。たとえば、地方の新幹線や高速道路など中国企業にやらせたらよい。たとえば、山陰新幹線というものを仮に構想すれば、日本のコストではどうやったって採算が合わない。
しかし、中国にやらしたらやすくできるのではないか。危険だという人もいるが、現在、山陰のひとは新幹線がないのでしばしば自分の車で高速道路を走っている。私は高速道路の事故率の方が、中国の新幹線より高いことを疑わない。
オリンピックの施設の多くは臨時なのだから、少しリスクが高くても国際的な常識の範囲なら構わないはずだ。
これまで、日本人は公共事業の効用を、出来上がったインフラに求めず、工事の経済効果に求めてきた。馬鹿らしいことだ。とくに農業時代でないので、お百姓さんに土木工事で仕事だしても誰も喜ばない。
中国は万里の長城をみてもわかるとおり、土木工事は得意なのだ。それを隣国として活用しない手はない。
もちろん、中国以外の国でもいい。北朝鮮の労働力などかなり魅力的なのではないか。もちろん制裁を解けるのならだが。
政治的は中国に対する警戒は、緩めてはならないが、経済的にはウィンウィンの関係はいろいろあると思う。
これは、今になって思いついたものでもない。かつて、経済産業省(当時は通商産業省)で中国担当の課長をやっていたときから、考えていたことだ。