医師が警鐘!間違った勉強法は危険。時間のムダである

尾藤 克之

写真は講演中の樺沢医師。

「勉強しても、身についている気がしない」「勉強しているのに、ちっとも効果を実感できない」「勉強しているのに、全く自己成長につながっていない」「勉強しても、社内の評価も給料も上がらない」。こんなふうに思ったことはないだろうか。

精神科医、作家として、精神医学や心理学の情報を発信している、樺沢紫苑(以下、樺沢医師)は、「日本で最もインターネットに詳しい精神科医」として、雑誌、新聞などの取材やメディア出演も多い。今回は、「正しい勉強法」について伺った。近著に『ムダにならない勉強法』(サンマーク出版)がある。

■ムダな勉強は人生の時間のムダである

――あなたの周りに月に数十冊の本を読む勉強家はいないか。その人に、「最近読んだ本で良かった本を教えてください」と聞いてもらいたい。「えー」と言ったきり次の言葉が出てこない人が少なくない。

「人に説明できないということは、勉強が身についていない、ということです。時間をかけて勉強しているのに、何も学んでいないのに等しいのです。勉強しているのに満足のいく結果が得られていない人は、例外なく『ムダだらけの勉強』をしています。」(樺沢医師)

「そんな『ムダだらけの勉強』で月に数十時間勉強しても、ザルで水を汲むようなものです、勉強した内容が「行動」に結びつかない「ムダだらけの勉強法」では、記憶に残らないのは当然として、仕事や生活の場で役に立つこともありません。」(同)

――あなたの周りを見てもらいたい。真面目で、地道で、コツコツやるタイプの人ほど、要領が悪い、非効率な「ムダだらけの勉強」をしている。一方で、妙に「要領のいい人」もいる。普段から熱心に勉強している様子もないのにデキル人のことだ。

■大人の勉強は「効率」がすべて

「要領のいい人の特徴は勉強をしている様子もなく、むしろ遊んでいる時間のほうが長そうに見えます。しかし、上司が何か質問をしたら、正確なデータや具体的な事例などを瞬時に引用し、上司を納得させ、信頼と仕事を勝ち取っていきます。」(樺沢医師)

「どこの会社にも、あまり勉強も努力もしてなさそうに見える、要領のいい人がいると思います。そんな人ほど、上司の信頼も厚く、出世も早かったりします。あなたと『要領のいい人』は、何か違うのでしょうか?それは、『勉強の効率』が違うのです。『要領のいい人』は、効率の良い『ムダのない勉強』をしています。」(同)

――なかには日々の仕事に追われ、忙しい毎日を過ごしている人も多い。その忙しさの中で、スキマ時間を活用して、朝や帰宅後に勉強をしている人もいるだろう。

「大人は、受験生と違って、1日何時間も勉強する時間はとれません。1日1時間、あるいは数時間といった短い時間を『効率良く』使って勉強することが必須です。ムダの多い勉強をする人が『人生の敗者』となり、要領良く、効率良く勉強できる人が『人生の勝者』となるのです。大人の勉強は『効率』が命です。」(樺沢医師)

■正しい勉強方法を覚えると健康になる

――精神科の医師に、勉強法についてどこまで語れるのかと疑問を持った方も多いだろう。そこで、樺沢医師の経歴についても聞いた。

「医学部に在籍していた6年間は、塾講師と家庭教師をしていました。他には、有名な進学塾で、中学生30人のクラスを担当し2年間教えました。医師になってからは看護学校の講師を5年ほど務めました。いまは診療業務の傍ら、患者向け勉強会、お年寄り向けの認知症予防講演会、覚せい剤予防の講演会などの講演をこなしています。」(樺沢医師)

「さらに、札幌医大の医局にも6年在籍していましたので、臨床実習の医学生、看護学生の指導、研修医の指導も行いました。これまでの蓄積で、人はどのように勉強に興味を持つか。どういうタイミングで成績が上がるのか詳細に理解できました。」(同)

――現在は、樺沢心理学研究所を設立し、作家と講演を主体として活動しているそうだ。

「健康や病気の予防について普段から関心の高い人は、病気の予防法について勉強しています。健康情報にも関心が高く、食事、運動、睡眠にも注意を払います。結果として病気になる確率を、大きく減らすことができるのです。知識こそが、病気を予防する。私は、健康や病気の予防についての知識で、病気を予防できると確信しています。」(樺沢医師)

「正しい勉強の習慣を身につけることによって、現実を変え、自己成長し、『健康』というかけがえのないものを手にすることができます。」(同)

――「ムダにならない勉強法を身につけてください」と穏やかに語る、樺沢医師の表情には一点の曇りもなかった。正しい勉強法に関心のある方には参考になることだろう。

尾藤克之
コラムニスト

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