豊洲移転の問題がまだ堂々めぐりしているので、1月のこども版を再掲します。
東京都の小池百合子知事が、築地市場から豊洲市場への引っ越しにストップをかけてもめています。引っ越しに反対する自称「建築エコノミスト」の森山高至さんに「豊洲と築地のどっちが汚いんですか?」と質問したんですが、いまだに答えてくれません。こんな人が東京都の専門委員として知事にアドバイスするのは困ったものです。
それはさておき、豊洲市場の問題は30年ぐらい前からもめています。ここに昔は東京ガスの工場があり、地下水からベンゼンやヒ素などの危険な物質が高い濃度で見つかったからです。とはいえ今の築地市場も老朽化して危険になったので、2001年から引っ越しの計画が始まりました。
地元では根強く反対運動がありますが、豊洲市場は団地みたいなものなので、いやなら引っ越さなければいいだけのことです。湾岸の埋め立て地には団地がたくさんありますが、それも地下水を調べたら、有毒物質がたくさん出てくるでしょう。でもそんなことを気にする人はいません。
なぜでしょうか。それはコンクリートで仕切ってあるからです。今どき井戸で地下水を飲む人はいません。地下水は海に流れ込むだけなので、コンクリートの建物の中の人の健康には何の影響もありません。ところが小池さんは「盛り土がしてない」と騒ぎ、去年11月に予定されていた引っ越しを延期してしまいました。
盛り土というのは有害物質の上にフタするものですが、土よりコンクリートのほうが安全です。土壌汚染対策法にも「盛り土またはコンクリートで汚染を遮断すれば足りる」と書かれており、汚染をゼロにすることは求められていません。コンクリートで遮断すれば、盛り土は必要ないのです。
それより問題は、豊洲に引っ越さないと築地を使い続けないといけないことです。築地は上の写真のように魚が地面に直接ころがされ、そこを長靴をはいた人が通るので不潔です。100メートル離れたところに晴海通りがあり、排気ガスがたくさん入ってきます。特に心配なのは、発がん性の強いアスベストが建物にたくさん使われ、空気中に飛び散ることです。
コンクリートの下の地下水の汚染は魚に無関係ですが、排気ガスやアスベストにさらされると危険です。要するに、築地は豊洲より危険なのです。危険だから移転するので、調べるまでもありません。
豊洲はこの写真のように、市場というよりマンションみたいな感じです。魚はまわりの空気や水から隔離され、出入りする魚も衛生管理されます。建設費6000億円は引っ越しをやめたら取り返せませんが、引っ越して築地の土地を売ると4300億円もうかるので取り返せます。こんなことはよい子のみなさんでもわかると思いますが、小池さんにはわからないんでしょうか?