幸せになりたければ、通勤ラッシュから「脱出」しなさい

内藤 忍

行政書士で不動産投資顧問をしている作家の金森重樹さんがプレジデントオンラインに面白いデータを紹介していました。人間の幸福と不幸に関する経済学者の調査結果です。

ノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のダニエル・カーネマン教授らが調査したもので、テキサスで働く909人の女性を対象に日常で起こった出来事について幸福度(ポジティブ感情からネガティブ感情を引いたもの)を集計した結果です。

幸福になるためには幸福度の高いものを増やし、幸福度の低いものを減らす必要があります。調査の中で圧倒的に幸福度が低いのが朝の通勤です。幸福になれることを増やすのも一法ですが、幸福度の低いことを減らせば、確実に幸福になれるのです。

東京の朝の通勤ラッシュは先進国でも最悪レベルです。1月19日には朝のラッシュ時の混雑と遅延が慢性化している東急田園都市線で、乗客同士が「ぶつかった」「ぶつからない」と口論になり、電車が遅延するトラブルがありました。混雑が強いストレスになって、乗客同士のトラブルが多発する原因になっています。

プレジデントオンラインの記事には、通勤に関して別の分析も紹介されています。チューリッヒ大学の長期データによる調査では、通勤に23分かかる人はそのストレスの見返りに給与が19%多くないと割に合わないという結果になりました。東京の田園都市線のようなひどい通勤ラッシュなら、2割以上の給与の見返りが必要かもしれません。

通勤時間や混雑度合によっても異なりますが、仮に通勤の見返りに必要な給与が20%とすれば、通勤をして年収600万円の人と、通勤の無い仕事で年収500万円の人の幸福度は同じということになります。通勤をしなくて良いということには100万円の価値があるということです。

私も以前は40分から50分かけて、毎日通勤していましたが、もし通勤しなくて良くて、スーツも着なくて良いとなれば、年収が200万円くらい減っても良いといつも思っていました。やはりスーツを着てネクタイして混雑したバスや電車に乗って会社に行くのは金銭に換算してもかなり大きなマイナスだということです。

ネットで情報交換ができるようになって、朝から晩まで同じ場所に集まって仕事をする意味は薄れてきています。顔を合わせて情報をシェアすることも必要ですが、ずっと同じ部屋にいる必要はありません。朝からオフィスに皆で集まることの意味はほとんどないのです。

意味のないとわかっていることをして、人生最悪のストレスを毎日のスタートに受け続ける。通勤地獄からの脱出こそが、人生の幸福度を上げる最も早く確実な方法だと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年1月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。