【映画評】新宿スワンII

渡 まち子

新宿・歌舞伎町を拠点にするスカウト会社バーストは、横浜に勢力を広げることになる。会社のエース格になった白鳥龍彦は、幹部の関玄介と共に横浜に送り込まれる。だがそこは、警察やヤクザとも裏でつながるスカウト会社の横浜ウィザード社長・滝正樹が支配する難攻不落のタキ王国だった。龍彦たちは早々に手洗い洗礼を受け、タキの策略によってバーストは窮地に陥る。バーストの社長は龍彦を破門にすることで事態を回避しようとするが、新宿と横浜は全面戦争に突入。孤立無援の龍彦は、歌舞伎町を守るために立ち上がる…。

和久井健の人気コミックを原作に、新宿・歌舞伎町で生きるスカウトマンの成長を描いた人気作の続編「新宿スワンII」。今回は、原作のエピソードの中でも人気が高い「横浜王国編」をベースに描く。前作からの主要メンバーに加え、今回は、新たに浅野忠信や広瀬アリス、椎名桔平らが出演する。何しろ、登場人物が多いので、133分という長尺の間、どうにもゴチャゴチャしてしまった感は否めない。内容も、いろいろと詰め込みすぎて、交通整理がうまくいってない印象だ。前作で命を落とした南秀吉の死の真相も含めて、すっきりしないのである。クイーンコンテストという派手なイベントも用意されているが、ビジュアル的には華やかだが、これ、必要なのか?!と首をかしげてしまう。

横浜ウィザードのタキと新宿バーストの関の間には、実はのっぴきならない因縁が。友情と夢、愛憎入り混じるこの部分の魅力が薄まってしまったのが、何よりも残念である。ただ、アクション監督に「るろうに剣心」シリーズの谷垣健治を迎えたアクションシーンは、素晴らしく、大人数での大乱闘、ガチでの1体1の勝負など、すべてのアクションが、手に汗握る迫力だった。
【55点】
(原題「新宿スワンII」)
(日本/園子温監督/綾野剛、浅野忠信、伊勢谷友介、他)
(すっきり感度:★☆☆☆☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年1月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。