【映画評】君と100回目の恋

渡 まち子

提供:アスミック・エース

大学生の葵海は、誕生日の7月27日に、ライブの帰りに事故に遭ってしまう。だが、目覚めるとそこは大学の教室で、日付は事故に遭う1週間前だった。混乱する葵海の前に、幼なじみの陸が現れ、自分は時間を遡ることができ、何度もタイムリープして葵海を救っていたと告げる。お互いに胸に抱いていた恋心を伝えられなかった二人は、この出来事を機に1年前に戻る。周囲がうらやむほどの理想的なカップルとして幸せな日々を過ごすが、再び7月27日が近づいてくる…。

悲しい運命を変えようと何度も時間も遡る青年の一途な愛の行方を描く純愛ラブ・ストーリー「君と100回目の恋」。陸は、不思議なレコードを使って、何度も何度もタイムリープを繰り返し事故に遭う葵海を救おうとする。陸が、何でもお見通しという態度で、いつも落ち着いて周囲にアドバイスするのは、次に起こる出来事を知っているからなのだ。その力を使って愛する人を救おうと懸命な陸の一途さには確かに打たれる。愛する葵海のいない未来なんて、自分にとっては意味がないと思いつめる陸には、実はある秘密が。全身全霊で自分を守ってくれる、そんな恋人を待ち望む人にはグッとくるストーリーに違いない。

本作のW主演はmiwaと坂口健太郎。10代を中心に圧倒的に支持されるシンガーソングライターのmiwaの音楽が最大の見所(聴所)となっている。当然、タイムリープやタイムスリップものにつきものの矛盾はあるが、それはこの際、目をつぶろう。それにしても、純愛映画とは、もはやSFレベルでしか成立しなくなったのだろうか?? いささか心配になった。
【50点】
(原題「君と100回目の恋」)
(日本/月川翔監督/miwa、坂口健太郎、竜星涼、他)
(一途度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年2月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。