初乗り410円より「タクシー業界のウーバー化」を

内藤 忍

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政府の規制改革推進会議がライドシェア(相乗り)解禁に向けて検討を開始していることにタクシー業界が「安全性に問題がある」と反対しているそうです(写真はネットから)。

海外ではウーバー・テクノロジーズのような企業がライドシェア事業を展開していますが、日本国内では自家用車を使った「白タク」は法律で禁止されています。ライドシェア解禁には、道路運送法の改正などが必要になってきます。国土交通省もライドシェアの全面解禁は、利用者保護の観点から難しいとしています。

私は業界の専門家ではありませんが、タクシーの運転手なら安全性に問題なく、一般人は安全性に問題があるというのは、規制緩和しない理由にならないと思います。山本直人氏(高校のクラスメイトです)がブロゴスにこんな記事を書いていましたが、個人タクシーに限らずタクシーの運転手の運転技術や運転マナーは、同一料金にも関わらずバラツキが大きいというのが実感です。利用者は乗ってみないと、タクシーの品質がわからないという不安があります。

利用者保護の観点に重きを置くのであれば、規制よりも「タクシー業界のウーバー化」を推進すべきではないでしょうか。

現状のタクシーを利用していて、不便・不満に思うことは次のようなことです。
1.タクシーは流しを拾うのが原則で、予約すると迎車料金を取られる
2.乗客が運転手を指名して選ぶことができず、乗ってみないとどんなドライバーかわからない
3.支払いを事前に済ませておくことができず、降車時の精算が面倒で時間がかかる
4.運転手の熟練度に応じた料金になっておらず、道を知らないドライバーもベテランドライバーも同じ料金

現状のタクシーのシステムは、ネット社会になる前に確立したサービス提供の仕組みで、時代の変化に対応しているとは言えません。

例えば、タクシーの迎車料金などは廃止し、パソコンやスマホからどのタクシー会社でも共通のサイトから日本語、英語で予約できるようにする。料金は事前に距離や混雑状況に応じて決めておく。パソコンが使えない人がいるなら電話対応も並行すれば良いですし、クレジットカードが無い人は現金で通常のタクシーのように支払えるようにすれば良いでしょう。

タクシーを呼ぶと迎車料金がかかるのを止めて、流しのタクシーよりも予約の比率を高めるようにすれば、無駄な燃料費も節約でき、事故のリスクも減り、道路の渋滞も緩和します。予約の際は、ドライバーによって料金を設定すれば競争原理も働きます。

日本が本気で観光立国を目指すのであれば、規制緩和によって民泊やライドシェアをどのように進めていくかは極めて重要です。安全性に問題があると既得権益を持つ業界に配慮して規制強化に走るより、利用者に評価をしてもらうことで市場メカニズムによって品質を担保する方向にウエイトを置いた方が良いと思います。最低限の規制は必要だと思いますが、国や業界が箸の上げ下ろしまで指導しなくても、安全性に問題のあるサービスは、いずれ市場から淘汰されていきます。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年2月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。