購買力平価から見る今のドル/円の水準

東猴 史紘

当選後に見られたトランプラリーは終焉を迎えて2017年に入り、ドル/円の方向性が定まりません。外国為替レートは今後どうなっていくのか?を説明する際、拠り所の一つにされるのが「購買力平価説」です。スウェーデンの経済学者カッセル氏が提唱し、2国間の物価の差が外国為替のレートを長期的に決めていくとする理論です。

「かなり大雑把」に説明すると、購買力平価のグラフから現在のレートがどの程度乖離しているのかを見てそこから今後の長期的な変動を予測します。ここではドル/円の購買力平価は国際通貨研究所で発表されているデータを参考にすることにします。

 

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見方は非常に簡単で、外国為替のレート(青い線)は基本的に他の三本線(消費者物価と企業物価、そして輸出物価)という各物価指数の間を推移していきます。そしてこの3本線からはみ出したりしても、長期的にはまた線の中に戻っていくのです。

同研究所の最新データが2016年11月まで発表されていますので2016年の1月から11月の各指標を最低値と最高値を下にまとめてみました。エクセルデータはHPからダウンロードできます。

【2016年1月から11月の各指標の最低値と最高値】

ドル/円(月平均)108.33円-118.18円

消費者物価 127.27円-127.33円

企業物価 96.01円ー96.85円

輸出物価 69.65円ー72.69円

 

つまり、ドル/円は大体70円(企業物価を重視するなら96円)くらいから127円くらいまでの間で推移するんだなと直感的に読むのが購買力平価を使った外国為替レートの読み方です。2月はまだ始まったばかりですが、2月6日現在、月足チャートで2月の最高値が113.950円で最安値が112.053円なので、この11月までのデータで見ると、一応は想定の範囲内で動いているという事になります。

今後の予想がしずらいトランプ政権ですが、仮に公約通りに大型のインフラ投資や行われる場合にドルが高騰して135円や140円になった場合や、逆にトランプ政権が過度なドル安政策を取って企業物価を下回る95円やさらに輸出物価を下回る65円という水準になったら、それは購買力平価から見て違和感のあるレートなので、長期的には線の中に戻っていくだろうと考えていくわけです。

よって、2月現在の112円と113円を行き来しているドル円は購買力平価から見た場合、対して違和感のある水準ではないと言うことができそうです。方向性は完全に見失っていますが。

東猴史紘
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