投資は「社会貢献」であることを日本人は知らない

資産運用は自分の資産を増やすのが目的ですが、社会貢献にもつながると思ってやっています。社会にとってマイナスの投資は、資産運用としても最終的には良い結果にならないものだからです。

お金という「資本」を持っている人は、それを株式や債券、不動産といった形で投資することで、企業の資金調達を助けたり、住居というインフラを提供したりしています。そのような投資が有益になされ、社会にとってプラスのものになれば、投資家はリターンという形で見返りを得ることができる訳です。

社会貢献というのは、寄付のように一方的に与えるものだけに限定する必要はありません。むしろ、一度きりの寄付で終わってしまうより、継続して貢献できる「仕組み」を工夫する方が社会貢献としての重みがあるとも言えるのです。

例えば、東北で震災が起こった直後には、大量のボランティアや義捐金、寄付がありました。しかし、5年以上が経過し、今やその規模は激減しているのが現実です。人の暖かい心や善意は、ありがたいものです。しかし、10年後、20年後にも東北の復興に貢献できるにはどういう形が良いかを考えると、市場原理を使った投資の形態も必要だと強く思うのです。

2009年から開講している丸の内朝大学のマネークラスでは、フィールドワークで東北に行って、復興支援をサポートしています。といっても、寄付をするのではなく市場原理を活用して復興に貢献するにはどうしたら良いかという視点を持つようにしています。本当に行ってみたいと思えるような東北の魅力的なコンテンツがあれば、これからもずっと細く長く続けていけるからです。

海外でも国内と同じ視点で投資を考えることが大切です。

海外不動産投資であれば、投資した国の経済発展に貢献し、住宅というインフラの整備に貢献できれば投資の成功にもつながります。

最近知った、投資と社会貢献のリンクをダイレクトに感じるプロジェクトが日本経済新聞のWEBサイトにも取り上げられたカンボジアのキロリムでの開発プロジェクトです。

プロジェクトを推進する猪塚武氏は、早稲田大学理工学部から東工大大学院を修了し、アクセンチュアを経てデジタルフォレストを起業。それを2009年にNTTコミュニケーションズに24億円で売却し、カンボジアの高原リゾートに「キリロム工科大学」を設立しました。山手線の内側の1.5倍の土地でリゾート学園都市を建設するという壮大なプロジェクトです。

学生やリゾートに来る観光客向けに居住用不動産も建設し、10万ドル(約1100万円)以下で投資できる物件も提供しています(写真)。こちらのキリロムの投資プロジェクトについては、3月18日の第5回世界の資産運用フェアでもカンボジアブースでご紹介する予定です。

投資は悪いこと、人から利益を奪うことと誤解している日本人は未だにたくさんいます。胸を張って投資をしていますと言える社会にしていくためにも、これからもリスクを取って世界の投資機会を紹介していきたいと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年2月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。