共謀罪の導入時に、違法捜査、不適切捜査をどう防ぐか

共謀罪導入で適正な捜査は行われるのか(写真ACより:編集部)

テロ等準備罪と名前を変えて国際的犯罪防止条約締結のための国内法整備のための作業が続けられているようだが、未だにその詳細な制度設計が明らかにされていない。

マスコミでは、過去3度廃案になった内閣提出の共謀罪法案が対象犯罪を大幅に限定したうえで、基本的にそのまま国会に提出されてくるような印象だが、本当にそうなるのかどうかも分からない。

分からないものに対してあれこれ言っても本当は何の役にも立たないのだが、火のないところに煙が立たないのは自然の道理なので、国会での審議を手掛かりにそろそろ私の意見を申し上げた方がよさそうだ。

私は、国際的犯罪防止条約締結のための国内法の整備は進めるべきだろうという立場に立っている。
日弁連の担当者は、今の日本の法制で足りる、特別の法律を作る必要はないという見解を主張されているようだが、条約締結交渉にあたる外務省サイドが国内法整備が必要だと言っている以上これを否定するだけの材料は私は持ち合わせていない。

日本政府としては未だに国際的犯罪防止条約の締結をしていないことは事実なのだから、国内法の整備が必要なのか必要でないのか、といういわば神学論争的なことは一応棚上げして、まずは国内法の整備の必要を肯定した上で、どういう国内法整備をすればいいのか、具体的にどういう法案にしたらいいのか、という議論に入った方がいいだろう。

テロ等準備罪という名称に変えてはいるが、政府が従前の共謀罪法案をベースにしているであろうことは自明のことだと思う。従前の共謀罪法案とまったく別の観点から新しい法制の導入を考えているのなら、当然それにふさわしい検討機関が政府にも自民党にもあって然るべきだが、寡聞にして私の耳にはそうい情報は入ってこない。

今の自民党の国会議員の構成を眺めてみると、こういう議論をするのにふさわしい人が実に少ない。
おい、おい、おい、そんなことで大丈夫なの、と声を上げたくなるが、いないものはいない。

この分野の専門家は若狭さんぐらいなものだろうと思うが、さて、今の自民党で若狭さんの発言力がどの程度あるか、若狭さんの言うことに耳を傾ける人がどのくらいいるかということになると実に心もとない。

あまりこんなことを言うと、俺たちをバカにするのか、と怒り出す人がいるかも知れないが、どうも自民党の今の国会議員の方々は長い物には巻かれろ的な人が多そうで、なかなか議論が活性化しそうにない。

自民党から呼ばれたら多少は議論に火を点けてみようかしら、と思わないでもないが、火の点け方が悪いとあっという間に消されてしまうだろうから、いつ、何を言うかを慎重に検討しているところである。

私が懸念しているのは、テロ等準備罪という名の共謀罪が導入された時に、捜査当局、治安当局の権限の濫用なり逸脱を適時適切に抑止するための仕組みが出来ているかどうかである。

検察官が証拠の捏造や隠滅をするというトンデモナイ事件が判明している。
警察官は嘘を吐かない、検察官は嘘を吐かない、ということがどうも神話の類になってしまっている。
清廉潔白な教育者を養成するはずの文科省で天下り規制の網を搔い潜るための組織ぐるみの隠蔽工作や証拠隠しが行われていた、という事実も明らかになったばかりである。

捜査当局に強大な捜査権限が付与されることになることが必至の今次の法改正だ、という認識がどこまで共有されているのか。相当の緊張感をもって法案の審議にあたってもらわなければならないのだが、今の自民党の国会議員の方々にどれだけの緊張感があるのか心配である。

河野太郎氏が100人いればなあ、と正直思っているところである。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年2月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。