投資信託5000本のうち99%はいらない

報道によれば投資信託協会は積み立て投資の促進のために株式型投資信託約5000本の情報提供を拡充するそうです。それぞれの投資信託の運用期間や毎月の投資金額などを入力すると、運用成果をシミュレーションできるそうですが、そんなサービス必要なのでしょうか。

個人型確定拠出年金の対象者拡大に伴い、投資信託を使って資産運用をはじめようという人に最初に立ちはだかるハードルが、商品の選択です。

写真はある証券会社の個人型確定拠出年金の商品ラインアップですが、これだけ厳選された商品であっても、投資初心者・未経験者にはどれを選んでよいか悩んでしまうはずです。商品の細かい違いを比較したいという「投信マニア」であれば別ですが、5000本の投資信託のうち、99%は知らなくても資産形成には問題のない商品です。

ほとんどの投資家が投資すべき商品は次の3つのステップで絞り込めます。

1.アクティブファンドを排除し、インデックスファンドだけを選ぶ
アクティブファンドを全否定はしませんが、選ぶ手間と時間を考えれば平均点が取れるインデックスファンドで十分です
2.バランス型ファンドを排除し、投資対象毎にファンドを選ぶ
資産配分が決まっているお任せファンドではなく、自分で比率を決める方法の方が将来の資産形成に有効です
3.その中から信託報酬(=年間の管理コスト)が低めなものを選ぶ
インデックスファンドなら運用成果はほとんど同じですから、コストを比較するだけでほぼ問題はありません

過去の運用成果や、細かい運用方針などを確認しなくても、どのインデックスに連動して、どのくらいのコストがかかるかがわかれば投資信託選びはシンプルに結果を出すことができます。

後は、それをどのように組み合わせるかを考えるだけでよいのです。組み合わせの方法(アセットアロケーション)がわからなければ、ネットや書籍で調べて、最初は誰かのマネをして始めてみればよいのです。自分に最適な方法がわかったらその都度修正していけば問題ありません。

インデックスファンドでコストを下げる運用方法は、金融機関にとっては儲からないビジネスです。新聞や雑誌もアクティブファンドの広告が無くなると困りますから、アクティブファンドに対する否定的なコメントはなかなか掲載されないのです。

個人投資家にとっては、投資信託の本数が増えることは選択肢が広がるのではなく、必要の無い情報によって投資に悪影響が出るとさえ思います。真に、これから始める個人投資家の立場に立って考えるなら、投資信託の選択肢は広げるより、絞り込む方が親切だと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年2月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。