InterBEE2016。今年ぼくは基調講演「2020 Tech & Pop」と、パネル「4K8Kパブリックビューイング」に登壇しました。
今回は過去最高の出店数だそうで。放送機器だけでなく、VRやらクラウドやら、周辺が育っっているとのこと。出展としてはVR、4K8Kが目立ちました。
今回注目したもの、ソニーCLEDIS。未発売の4K LEDディスプレイ。スゴい。ユニット組み上げのスケーラブルシステムなので、4面組み合わせて8Kにするとか、16Kとか、拡張性に優れる。2020本番で活躍してくれそう。
おなじみまるけん「マルチメディア放送研究会」。「よむテレビ/さわれるテレビ」。モアテレビ+字幕[巻き戻し]機能+SyncCastです。着々と進化しています。
「貯まる!byフジテレビ」。フジテレビの番組企画に参加したり、webサービスを使ったりして、コインをためる。クーポンやAmazonギフト券などに交換可能。テレビを見て、もうける、という仕組み。フジテレビらしいですよね。
さて、4K8Kパブリックビューイングのパネル。その将来性は?との問いから始まりました。以下ぼくのコメント。
地デジで20年かけてHD化を達成した直後、もう4K8Kという。そこにニーズはあるのか?と思ったが、ここ数年のサイネージの4K化でニーズを確認、そして8Kパブリックビューイングを「体験」して、これは「来る」と思いました。
300~520インチの8Kで、視界をスクリーンに覆われ、22.2chの音響に囲まれると、「視る」のではなく「居る」という感覚となります。これまでの鑑賞とは別物のメディア体験です。会場で観てるより面白いでしょう。これはぜひ「参加」「体験」していただきたい。
大相撲の8K生中継を体験しました。等身大の力士がまわしを叩く。力士が頭蓋骨をぶつけ、ウッと呻く。その音。行司が着ける衣装のツヤや金糸銀糸の輝き。砂かぶりに陣取るより、もっとリアルなAV環境で、興奮しました。
渋谷のNHKホールでリオオリンピックの8K大画面中継も見せてもらいました。520インチ。映画館よりデカいサイズ。4Kプロジェクタ4台で8Kを作ります。NHKはリオに20台のカメラを送って、現地から光ファイバで同時中継していたんです。
5月に設立した映像配信高度化機構は、4K8Kのパブリックビューイング会場を2020年までに100か所整備する計画です。
パブリックビューイング整備はデジタルサイネージコンソーシアムとも連携します。コンソーシアムの設立は約10年前。当時はまだ「電子看板」で、ネットワーク化とコンテンツ充実が課題でしたが、クリアしてきました。4K8Kも時間かけてがんばりましょう。
4K8K PVは、30年前のハイビジョン、20年前のウェブ、10年前のサイネージと似た状況。10年後には、どうにかなっていましょうよ。
総務省はおもてなし防災クラウドサイネージの整備を推進しています。デジタルサイネージコンソーシアムも国内標準システムを整備することで応えていきます。
B2Cのエンタメビューイングだけでなく、医療や教育のB2Bにも期待します。超高精細の遠隔医療は既に始まっています。学校の壁を4K8Kにしたデジタル教育も有望。医療30兆円市場、教育20兆円市場のデジタル化を進めましょう。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2017年2月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。