【映画評】トリプルX:再起動

Image netより(編集部)

エクストリーム・スポーツ界のカリスマ、ザンダー・ケイジは、世間から身を隠して生きていたが、再び政府の極秘エージェントとして呼び戻される。今回の任務は、制御不能になった軍事兵器“パンドラの箱”を奪回すること。命知らずの仲間たちを集めて新しい最強チーム・トリプルXを結成し、世界壊滅の陰謀に立ち向かう。だが、彼らの前に最強の敵ジャンが現れる…。

エクストリーム・スポーツのカリスマが腕利きシークレットエージェントとして活躍するスパイ・アクションシリーズの新作「トリプルX:再起動」。「ワイルド・スピード」が代表作のヴィン・ディーゼルの単独主演作が「トリプルX」なのだが、この新作は前作から10年以上もたっているので、もはや記憶も薄れかけていた。だが世界を揺るがす陰謀をムチャぶりで解決してしまうやんちゃなストーリーを見ると、一気に記憶が蘇る。とはいえ、本作は過去作を見てなくても大丈夫な作りなのでご安心を。もちろん「ワイスピ」と区別がつかないノリでもOKである。

トリプルXとは主人公のザンダーの別名だったが、この最新作では、常識の枠からはみ出してムチャをやってのけるアウトローたちすべてを指す言葉と解釈していいだろう。アクションは笑いが出るほどやりすぎ感満載で、かなり楽しめる。水上スキー付のバイクで巨大チューブの中をサーフィンなんて、もはやギャグの域だ。中国からは武術の達人のドニー・イェン、タイからムエタイの使い手のトニー・ジャー、ボリウッドから美女ディーピカ・パーデュコーンが参加するなど、昨今のハリウッド大作の流れと同様、アジア重視が見て取れる。主演のヴィン・ディーゼル、格好だけはつけているが、肝心のアクションに切れ味がないのがご愛敬ではあるが…。それでも見ている間はしっかりと楽しめ、見終わればすっきりと忘れられる、そんな本作が憎めない。特別ゲストでサッカー界のスーパースターのネイマールが本人役で出演するなど、無駄に豪華な演出もすてき!だ。このお祭り騒ぎのアクション大作、実は女性の活躍度が高く、誰もが美しくカッコイイということを、付け加えておきたい。
【60点】
(原題「xXx: RETURN OF XANDER CAGE」)
(アメリカ/D・J・カルーソー監督/ヴィン・ディーゼル、ニーナ・ドブレフ、サミュエル・L・ジャクソン、他)
(型破り度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年2月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。