こんにちは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
昨日は百条委員会ではない方の豊洲市場問題調査特別委員会にて、地下水モニタリング調査の採水業者に対する参考人招致&質疑が行われました。
採水および分析については、9回目までの調査に合計10社が携わっています。
参考人招致には強制力がないので、質疑の場に出席したのはこのうち6社。
各会派の質問時間もそれぞれに対して5分ずつと極めて短く、質疑は形式的なものにとどまるかと思われていましたが、第9回目を担当した湘南分析センター参考人の衝撃的な発言の数々により、場の空気は一変することになりました。
予め申し上げますと、以下の証言は都の見解とはかなり異なりますし(後述)、調査の妥当性を裏付ける再調査の結果が出るのは3月中旬のため、そのあたりはお含み置きの上でお読みください。
●湘南分析センター参考人の証言内容
【契約について】
・事前の現場状況説明などはなく、実際に現場を見に行ったら話とかなり違っていた
・提示された作業スケジュールも無理があるものであり、採水の延期または契約辞退を申し出た
・にもかかわらず「都が責任を持つ」と強く諭され、採水が行われることになった
なお「都が責任を持つ」と約束した点については、私の質疑により覚書が存在することが明らかになりました。現物を参考人から提出可能との発言もあったため、委員会終了後に都側から出された資料がこちら。
…解釈が難しい文章ですが、こうしたものを出さざる得なかった背景には何かがあったことを伺わせます。実際に都側も、スケジュールに難色を示す湘南分析センターに対して、タイトなスケジュールで作業を依頼した事実は認めています。
【採水について】
・現場には井戸が水没している箇所や、井戸管を切断しなければ採水ができないような場所もあった
・水没している箇所は、都の指示のもと極力周囲の水が入らないように(?!)アタッチメントをつけて採水作業をした
・水没や変形、内部づまりなど井戸の不具合は50箇所以上あった
・それでも都には採水を求められたので、指示に従って行った
(切断作業の様子。湘南分析センター資料より)
(アタッチメントを取り付けられた井戸管。水没状況は未確認)
・さらに、パージ作業(後述)後に復水の遅い井戸があり、翌日以降の採水を申し出たが、パージした水で分析するように指示された。その水は濁っていた。
【分析・報告について】
・11月下旬の段階で、前回の値と大幅に異なる検査結果が出ることがわかった
・都には口頭で連絡したが、1月上旬にまとめて報告するようにと取り合ってもらえなかった
・12月上旬にも再び報告・相談したが、同様の対応だった
【結論・所管】
・採水などすべて、都の指示に従って行い、数字が大幅に高くなることはかなり前の段階で伝えていた
・にもかかわらず、1月14日の発表で「暫定値」という扱いをされ、会社の名誉が深く傷ついた
・調査結果には絶対の自信を持っている。暫定値という扱いは今すぐやめていただきたい
※おときたメモ
・こちらの湘南分析センターは、地下深くから井戸を通じてパージ・採水などを過去に行った経験・実績はない
・発言した参考人は、東京都に対する怒りが押さえきれないという様子だった
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私が特に重要だと思った部分のみの抜粋ですが、すべて太文字で強調せざる得ないほど衝撃的な告発です。これが真であるとすれば、またしても都(中央卸市場)の重大すぎる失態です。
そして結論から言えば、真の部分もあるという大変遺憾な事態なわけで、これに対する都側の主な反論・言い分は以下の通りです。資料は最後にまとめて載せておきます。
※私の下記まとめは、資料掲載の事実+直接担当者から聞いたものを含みます。
・「覚書」は、あくまで作業スケジュールを都側が提示したものであることを明確にするために作ったもの
・延期をしたいという提案はあったが、辞退の相談を受けた事実はなく調査は応諾された
・スケジュールを優先し、パージした水で分析をするように指示したことは事実(!)
・しかしそれは一箇所だけであり、当該の分析結果から基準値を超えるものは検出されていない
・井戸の不具合が多かったという主張については、現在確認中
・湘南分析センターからは1月10日に初めて報告を受けた。それ以前の報告や相談はなかった
…いくつか食い違いはあるものの、パージした水(本来は捨てるはずの水)で分析を指示したという一点だけで、これはもうアウトではないでしょうか。
この指示の妥当性は専門家会議に評価を依頼しているそうですが、一箇所でもこのような杜撰な対応がしていることが事実ならば、その他についても信用が一気に失われてしまうことは避けられないと思います。
さらに本日の質疑では、それぞれの採水業者によってかなりパージ手順後の静置時間が異なることが判明しています。分析の前提となる検体の条件がそれぞれ異なっていて、果たして科学的に有効なデータと言えるのかどうか。
こちらについても、専門家会議が各事業者に行っているヒアリング結果を待つ必要がありそうです。
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先日の築地市場における申請ミスに加えて、築地でも豊洲でも東京都中央卸市場の不手際が目立ち、まったく看過することはできません。
ほんとに一体、何をやっているのでしょうか…。不確かなことが多い中で、「盛土問題」発覚以降もまったく変わっていない中央卸市場のガバナンスの欠如だけは明白な大問題と言えます。
報告のタイミングについても湘南分析センターの主張と完全な食い違いが生じており、井戸の状態など「調査中」とされている項目も含めて、調査・追及していく必要があります。
また今日の事実が多面的に検証されるにあたり、3月中旬とも言われる再調査の結果と照らし合わせることは必要不可欠でしょう。
本日は取り急ぎ事態を説明するにとどめ、これに対する推察はその数字を見て、また改めて行いたいと思います。
それでは、また明日。
■以下、都が発表した反論資料を掲載