「こども保険」について小泉進次郎に文句つけに行ったのだけど

「政界のジャニーズ」こと、自民党小林史明 議員に誘われて、先日、自民党若手がやってる「2020年以降の経済財政構想小委員会」に行ってきたんです。

「次世代のために、就学前教育を無料化したい。ついては『こども保険』っていうアラアラのアイディアがあって・・・」という話だったので、最初聞いたときは、「おいおい、ちょっと待ってよ。保育園入れた人の無償化よりも、今入れないで失業している人がわんさかいるんだから、先にそっちでしょう」と思ったわけです。

そこで、小泉進次郎議員に文句つけにいってやろう。爽やかな人気者に文句つける、厄介な民間人になってやろう、と自民党本部まで行ってきました。

こども保険とは

自民党本部は、いまだに会議室でたばこ吸えるようになってて、微妙にヤニ臭いんです。ほんと、そういうところ嫌いです。

でも、自民党若手議員たちは、「なんとか子ども達に、次世代のために、財源を生み出せないか!?」等と、ヤニ臭い中で青臭く、懸命に議論していたんです。心打たれました。

とはいえ、言うべきことは言わないと、ということで好き勝手言いまくったわけです。待機児童なんとかしようぜ、と。まず、話はそれからだよ、と。

そしてその後、何度も議論を重ねて、先日正式にリリースされたようです。

小泉進次郎議員ら「こども保険」創設を提言

簡単にいうと、働いている人の保険料をちょこっとだけ上げて、それを使って保育園無償化等をしようよ、と。

これに対し、ネット上は色々と批判もあるようです。

「こども保険」に感じる違和感(島澤諭)- Y!ニュース 

高齢者なぜ除外 :日本経済新聞

しかし、僕は彼らと議論していくうちに、「まあ、これも良いんじゃないか」と思うようになりました。

待機児童対策にも使えるかも

僕がガンガンに言ったせいかどうかは分かりませんが、今回の使途例に「待機児童ゼロ」が入りました。

待機児童対策の財源が不足している中、もしここで数千億単位で使えるとしたら、対策は間違いなく加速できます。

児童手当に関しては、例えば所得400万円以下世代とかに絞って、あとは待機児童対策に使った方が良いと思います。

「サラリーマン増税」批判について

「サラリーマン増税じゃん!」というツッコミが散見されました。

確かに、こども保険は、勤労者の社会保険料を0.1%だけ引き上げて、それを財源にしよう、という案です。そういう意味では負担は上がります。

ただ、30代、年収400万、子ども2人世帯の場合、月々260円くらいです。これ、そんなに重くないですよね。

しかも、失業が減って労働保険料も下がっているので、その分を充てる、というふうに考えれば、負担もほぼないわけです。

保険じゃないだろ問題について

医療保険は、「全ての国民の疾病やけが等のリスクを社会全体で支える」ためのもの。介護保険は、「高齢者が要介護状態になるリスクを社会全体で支える」もの。年金は「長寿生活に伴うリスクを社会全体で支える」制度。

でも、子どもって別にリスクじゃないじゃん、なんで保険制度でやる必要あるんだよ、という批判もネットで見られました。筋論で言ったら、確かにそうですよね。

 ただ、今はせっかく子どもが生まれても保育園入れなかったり、経済状況によって、子どもに必要な就学前教育や支援を受けられなかったり、というリスクが発生しています。

 よって「子どもが必要な保育・教育等を受けられないリスクを社会全体で支える」制度、ということで保険の仕組みでやっても良いのではないかな、と。

「なんで税でやらないの」について

これはおっしゃる通りで、所得税の累進化を弱め続けてきて、金持ちをより金持ちにする税制をやってきたじゃん、所得税の累進化を強化して、そこを財源にしろよ、と。また、相続税の課税ベースの拡大とか、資産課税しようよ、と。

それについては、若手議員達も所得税の見直しは否定していません。ただ、所得税の場合、目的税ではないため政府の大きな財布に一度入ってしまい、こどものための特定財源とすることができないため、こども保険という社会保険の仕組みを選択したということのようです。

まあ、僕はそれでも、所得税の累進化や相続税強化も、同時にやってよ、と思っています。

消費税でやれ / 教育国債でやれ、について

前回の子ども子育て新制度の財源を消費税にペグさせた時には、仕方がないので僕は消費増税に賛成しました。新制度の財源がなかったら、今以上に待機児童(=官製失業)問題はひどいことになっていたと思います。

ただ、消費税の場合は景気に与える影響が半端なく、かつ内閣ふっ飛ばさないと上げられない、という政治的な不安定さもあって、あんまりそこに拘泥する必要ないんじゃないか、と。

社会保険料はいつも変動させているし、やりやすさと言ったら、圧倒的にやりやすいわけで。

また、教育国債については僕は大賛成で、そこは唯一最後まで小委員会の方々とは考えが異なっていた点です。彼らは「次世代に借金を残すことになる」と懸念を示していましたが、子ども達への投資は、国債の利回りよりも高いことが確実だし、投資すれば返ってくるんだから、別にそれが国債でも良いのではなかろうか、と思います。

財政破綻についての懸念はあれど、例えば教育国債が3兆円だとしても、現在の国債残高規模からしたら、微々たるもの。子どもへの国債発行の時だけ渋って、高齢者1000万人に3万円ばらまく時には何も言わないのもおかしな話で。

ただ、「教育」と狭く定義するのではなく、「こども」と広く定義してほしいです。でないと、例えば児童虐待の防止等には使えなくなってしまい、ものすごく弱い立場に置かれて、教育の手も届きづらいような子ども達を助けることができないので。

結論:「こども保険」も「こども国債」も、どっちもやって

というわけで、「こども保険」も、結果として財源が生まれて、待機児童問題が解消して官製失業が防げていけるのだったらOK(児童手当に使う場合は、低所得者に重点的に)

また、「こども保険」だけだと、最初は3600億円と小規模すぎるので、「教育国債」も。ただし、教育国債は「こども国債」にネーミング変えて、子ども全般に広く使ってください。

何しろ、少子化を克服したフランスの子どもと子育てに対する支出は、GDP2.8%なのに対し、日本は1.3%。半分以下。

日本が「子ども・子育て後進国」なのは、もとを質せば、この「超過少投資」が原因なのです。

フランス並みにするためには、あと約7兆。こども保険にせよ、こども国債にせよ、やれる手は全部打って、子ども達に投資しないと、我々の未来なんてないのです。

出典:「こども保険」関連資料
・概要 goo.gl/dxLsa5
・提言本文 goo.gl/mEiq36
Q&A goo.gl/E8UPzd


編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2017年3月30日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。