2017年4月6日付のWall Street Journal(米国版)に、ネットで多用されている星五つの評価システムが役に立たないとの記事が出ていた。興味深いのでざっと内容を紹介する。
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星五つで評価する仕組みはネット上で広く利用されてきた。人々は、よい製品を見つけ、おいしいレストランを探すのに利用している。ところが、Amazonで販売されているダクトテープ250種類の平均格付けは4.2星を得ていた。4.3星より低い格付けを持つUberドライバーはいないという。
これは、自分の選んだものに低い評価は付けたくないという人間の心理に起因するという。アカデミー賞を受賞した映画に星一つを付け、評論家とその映画を支持した多数の人々に逆らう勇気もなかなか出ない。
Netflixは単純に親指で「いいね」「悪いね」を付ける仕組みに切り替えた。Netflixは視聴者一人ひとりの視聴行動を分析してその人にあったコンテンツを提案できるので、星五つの評価システムを使い続ける必要はないということだ。
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わが国でも、かつて、レストランの不正評価が問題になった。しかし、今でも星の多い店なのにがっかりすることがある。一人ひとりの評価を集積すればより客観的な評価に近づくという考え方が星五つの評価システムを生み出した。しかし、WSJの記事が指摘するように評価にバイアスがかかるのでは客観性は得られない。ネットで多用されてきた星五つの評価システムは曲がり角にある。
Facebookに、「超いいね!」や「悲しいね」などのリアクションボタンがあるが、上手に利用されているだろうか。それとも、「いいね」ばかりに偏っているだろうか。人々は多様なLINEスタンプを送るが、スタンプのキャラクターの違いを区別して使っているだろうか。それとも、最近お気に入りのスタンプを送信しているだけだろうか。
ネット上での反応表現について心理学的な研究が求められている。