今すぐ、投資信託のコストを調べなさい

週末日曜日の日本経済新聞朝刊の1面トップは「株指数運用、市場を席巻」という記事でした。インデックス運用に市場の資金がシフトし、その弊害が出ているという内容です。

運用手法は銘柄を個別に選ぶアクティブ運用と、株価指数に組み入れられた全銘柄を機械的に買うインデックス運用の2がありますが、アクティブ運用からインデックス運用に資金を移す投資家が増えているのです。

それをリードしているのは公的資金です。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、日本株投資に占めるインデックス運用の比率が8割。他の年金基金も追随し、年金全体では約7割に達したと書かれています。年間6兆円日本株を購入する日銀もETFを中心に日本株は8割がインデックス運用になっています。

この傾向は日本だけの現象ではありません。2016年度は世界で6888億ドル(約75兆円)の資金がインデックス運用に流入しています。

その理由は運用成績とコストです。過去のデータを見るとインデックスよりも高い運用成果を出しているアクティブファンドは多くても半分程度。アクティブファンドでインデックスに勝てるというのは幻想です。また、運用成績が良いファンドを事前に見つけるのは簡単ではありません。過去の運用成績の良さが将来を保証する訳ではないことも、過去データからわかっています。

それにも関わらずアクティブファンドはかなりの高コストです。上記のグラフは国内の代表的なインデックスシリーズであるSMTインデックスシリーズのコスト(信託報酬)を業界平均と比較したものです。2分の1から3分の1程度になっていることがわかります。

平均コストには他のインデックスファンドも含まれていると思いますから、アクティブファンドだけの平均をインデックスファンドの平均と比較すれば、その差はもっと大きくなるはずです。

日本国内の投資信託は相変わらずアクティブ型ファンドが次々と設定・運用されています。そんなファンドの購入者の多くは、このような運用成果とコストについての現実を知らないようです。

投資信託で資産運用している人は、自分の保有しているファンドの信託報酬を上記のグラフの数値と比較してみましょう。もし1%の違いがあれば、100万円で単純に年間1万円、10年で10万円のコストを余計に払っていることになります。コストは確実に運用成績を1%引き下げているからです。

自分が持っている投資信託のコストを調べて、低コストのインデックスファンドに切り替える。これが、最もスピーディかつ確実に運用成績を上げることができる方法です。今すぐ調べてみることをお薦めします。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年4月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。