日本時間の4月7日、アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席が初会談を行った。会談では、北朝鮮の核開発の問題を話し合ったという。とても深刻な事態だ。トランプ大統領は、習主席に北朝鮮の核開発を止めさせるための協力を要請した。もし協力してくれないならば、独自で行動に出ると言ったという。
ところが、なんとこの会談の最中に、アメリカはシリアを攻撃したのだ。そして、その事実をトランプ大統領は、習主席に伝えている。「北朝鮮に対しても、アメリカが攻撃する可能性はある」という強い姿勢を見せた。中国に脅しをかけたという言い方もできる。
トランプ大統領の呼びかけに、習主席が何と答えたかはわからない。通常なら会談の後に設けられるはずの共同会見も、共同声明もなかった。おそらく、習主席は何も答えず、平行線に終わったのではないか。
2012年4月13日未明、北朝鮮は人工衛星と称して、大陸間弾道ミサイルテポドンを打ち上げた。結果は、失敗に終わった。これは故・金日成主席の誕生日である、4月15日を祝うものだった。それ故、同様に今年も、4月15日前後に何かあるのでは、それも核実験ではないかという噂も広まっていた。実際は、16日に弾道ミサイル1発を発射している。ただし、発射直後に爆発したのだが。
対して、アメリカの動きは速かった。シンガポールからオーストラリアに向かう予定の原子力空母カール・ビンソンの針路を急遽変え、駆逐艦2隻、巡洋艦とともに、朝鮮半島付近に配備していたのだ。これは尋常ならざる北朝鮮への圧力である。一方、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長も、「暴力に対しては暴力で返す」という声明を発表している。
もし北朝鮮が核実験を行っていたら、アメリカは空爆していただろう。たしかにトランプ大統領なら、その可能性も高かった、と僕も思う。韓国では、その「Xデイ」は4月27日だという噂が広まっていた。アメリカから空爆を受ければ、北朝鮮は報復として韓国を攻撃する恐れがあった。
そして、その恐れは韓国だけにとどまらない。先月、北朝鮮は在日米軍基地に向けて、ロケットを発射している。いざ報復という事態になった場合、北朝鮮は、在日米軍基地も必ずや攻撃目標に選ぶだろう。いま、大きな危機がそばにあり続けるのだ。そのことに、僕たちは心しなければならない。
編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2017年4月24日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。