テレワークや在宅勤務が進むと、オフィススペースがどんどん不要になってくると言われています。
従業員1000人の会社でも900人が在宅勤務をしていればオフィススペースは100人分プラスアルファで済みます。プラスアルファ分は、在宅勤務者が集まる時などのためのスペースです。
実際、フリーランスの中にはノマドワーカーがたくさんおり、カフェやファストフードでノートパソコンを開いて仕事をしています。米国のビジネス書の中には、近い将来パソコン一台で世界を相手に仕事をする世の中がくると断言しているものもあります。
よくよく考えてみると、かれこれ15年以上前のことでしょうか、携帯弁護士がいると先輩弁護士に聞いたことがあります。携帯電話で連絡を取り合い、弁護士会館の面談室で相談や打ち合わせをするそうで、決まったオフィスを持っていないとのことでした。
インターネットが普及していない時代だったので、「果たしてそんなことが可能なのか?」と疑問に感じたものでした。社労士の友人は、顧問先を車で回るので車がオフィスのような形で開業しましたが、仕事に全く支障は生じず、逆に「フットワークのいい先生」として高評価を得たそうです。
今や、ほとんどの士業は、不特定多数の個人を相手にしない限り、オフィスレスで対応できるのではないでしょうか?記帳代行等の事務仕事はアウトソーシングできますし、判例や過去の事例はネットで調べることができます。
豪華なオフィスや有能そうな秘書の存在は、単に値段が高いことを示すシグナリングに過ぎないでしょう(笑)。
実際、士業の経費は事務所維持費や人件費がほとんどなので、事務所の立地やその有無は当人の有能さとは全く無関係ですから。
新規起業をする場合も、オフィスは必須ではありません。自宅マンションを本店所在地として登記し、メンバー各自がこなす仕事はノマドでもできます。会議はカラオケボックスを借りれば話が外部に漏れることはありません。
自宅で仕事ができるようになれば、介護や子育てのために仕事を辞める必要は少なくなります。満員電車で通勤する必要もありません。まさに、米国のビジネス書に書かれていた近未来の世界が、今まさに実現しようとしているのです。経営者のみなさんは、絶対にオフィス勤務が必要な仕事だけを一度ピックアップしてみましょう。存外少ないことに驚くのではないでしょうか?
このように考えると、医師や歯科医になって開業するよりもテレビドラマにあるようなフリーの医師になった方がはるかに自由が効く時代になっています。医院の初期投資には莫大な費用がかかり人件費等のランニングコストもバカになりません。開業医は初代では投資を回収できないと言われる所以です。
かつては、立派な本社ビルが企業の大きさと信用を示すものでした。
しかしこれからは、(業種業態によりますが)立派な本社ビルは大きな不良資産を処分できずにいる非効率経営の象徴になってしまうかもしれません。
立派な店舗を構えている老舗が次々とアマゾンに凌駕されているのも、その証左かもしれません。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年4月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。