【映画評】ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

渡 まち子

スター・ロードことピーターをリーダーとする落ちこぼれヒーロー軍団“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”は、宇宙の平和を守るために、今日もノリで奮闘中。小遣い稼ぎに引き受けた仕事でトラブルを起こした彼らは、黄金の惑星の無敵艦隊から総攻撃を受け、宇宙船ミラノ号は壊滅寸前になってしまう。間一髪のところで、ピーターの父親を名乗る謎の男エゴに助けられる。仲間からの忠告にも関わらず、ピーターは次第にエゴに魅了されていくが、その姿を目にしたチームの間には、亀裂が生じてしまうのだった。そこへピーターの育ての親ヨンドゥ率いる宇宙海賊の襲撃が始まる。さらに、銀河全体を脅かす恐るべき陰謀が交錯し、ピーターの出生の秘密と共に、チームの絆が試されることになるが…。

懐かしい70年代のヒット曲に乗って異色の落ちこぼれヒーローたちが大活躍するSF活劇の続編「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」。チームのメンバーは、リーダーのピーター、銀河一凶暴な毒舌アライグマのロケット、マッチョな巨漢ドラックス、セクシーなツンデレ暗殺者ガモーラなど、刑務所で偶然出会った宇宙のはみ出し者たちだ。彼らの絆はすでに前作で出来上がっているが、今回は、ピーターの父の登場で、SFではテッパンの父と息子のドラマが展開する。父親エゴ役で、神がかるカート・ラッセルもすごいが、育ての親ヨンドゥを演じる、ジェームズ・ガン作品常連のマイケル・ルーカーこそが、本作の影の主役だ。ヨンドゥの男気に思わず涙する人もいるだろう。永遠の思春期を生きるピーターは、生みの親と育ての親の間で苦悩し、葛藤するが、ノリはあくまでも軽い。そしてチームの秘密兵“木”のベビー・グルートが、超絶的にキュートで最高だ。本作は、おバカ映画のふりをしながら、ヒーローの資質を問い、欠点だらけの人間(動物も含む)の存在を全力で肯定するなど、なかなかスミに置けないメッセージを隠し持っている。もっとも、コ難しい理屈抜きにして単純に楽しめる点が何よりも魅力的だ。エンドロールまで、たっぷりと楽しんでほしい。
【70点】
(原題「GUARDIANS OF THE GALAXY VOL. 2」)
(アメリカ/ジェームズ・ガン監督/クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、ヴィン・ディーゼル、他)
(父子愛度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年5月13日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Facebookページから引用)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。