マルクスは「労働者」をバカにした!

長谷川 良

カール・マルクスの「資本論」第1部が出版されて今年で150年目を迎えた。来年はカール・マルクス生誕200年も控えている。カール・マルクス(1818-1883年)は一体如何なる人間かについて関心が高まってきている。

▲カール・マルクス(1875年)

オーストリア日刊紙クローネンは14日、出版者ハリー・ロボルト氏、ドイツの「左翼党」グレゴリ・ギシ―議員、そして女優のアンナ・タルバッハさんの3人による朗読本(2009年)、テーマ「カール・マルクスとエンゲルス間の書簡」の内容を紹介し、マルクスがフリードリヒ・エンゲルス(1820~1895年)宛ての書簡で労働者をバカにし、金銭問題では信じられないほど冷酷な人間であったことを暴露している。

マルクスとエンゲルスの書簡は公表を目的としたものではなかった。エンゲルス宛のマルクスの発言の一部(原文は独語)を紹介する。

①`Komplettere Esel als diese Arbeiter gibt es wohl nicht`

(1852年、マルクスがエンゲルスに送った手紙の中で)
「労働者ほど完全にバカな存在はない」と述べている。資本家による労働者の搾取を糾弾した「資本論」の著者マルクスは労働者をバカと呼び、軽蔑しているのだ。

②`Alles, was ich weiss , ist , dass ich kein Marxist bin`

(マルクスとエンゲルスの作品の中で)
マルクス「自分で知っていることは、自分がマルクス主義者ではないということだ」と述べている。

③`Ich habe natuerlich meine Aufstellungen so gehalten, dass ich im umgekehrten Fall auch Recht habe`

(マルクスは1857年、自身の著書について)
「著書の中では、自分の見解とまったく逆のような状況が発生しても自分の考えが正しいと受け取られるように配慮しているよ」

④`Stirbt der Hund jetzt ,so bin ich aus der Patsche heraus`

(1852年、マルクスは遺産を残す可能性のある叔父の死を願っている)
遺産を持つ叔父を犬と呼び、叔父が死に自分のところに金が入って困窮から救われたい、と吐露している。

⑤`Ich habe einen sicheren Plan entworfen, deinem Alten Geld auszupressen.´

1848年、お前の親父(工場経営者)から金を巻き上げる確実な計画を立てたよ。

マルクスはエンゲルス宛の書簡の中で本音を吐いている。マルクスにとって「労働者」は重要な役割を果たしているが、彼は書簡の中で労働者をEsel(ロバ)と呼び、バカ扱いしている。金銭問題でも冷酷さが現れている。
マルクス自身、労働者の生活をよく知らなかった。労働者の事態を知らないのに労働者の味方のように振舞っている自称・マルクス主義者はマルクス死後も多く出てきた。

興味ある点は、③だ。マルクスは自身の主張に反するような状況が出てきたとしても「自身の見解が正しい」と受け取られるように注意深く書いていると告白していることだ。マルクスの狡猾さを表現している。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017年5月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。