ザッカーバーグのハーバード卒業式演説が凄いので和訳

(アイキャッチ画像はウィキペディアよりお借りしました)

今朝ツイッターを眺めていたら、フェイスブック創業者マーク・ザッカーバーグが母校ハーバード大学の卒業式に呼ばれてスピーチしてる動画のリンクが流れてきて、軽い気持ちで再生しはじめたら凄い迫力で、30分以上のスピーチ最後まで全部見てしまったってことがあった。

結構笑えるジョーク(窓ガラスに数式書いたりしないよ!・・・とかいう映画”ソーシャルネットワーク”を根に持ってるようなジョークとか)やハーバード内輪ネタ(と思われる・・・ちょっとググると出て来るのが今の時代の救いですが)も交えつつ、卒業生と10歳も離れてない立場から”僕ら世代の責任”という切り口で語る話は非常にグイグイ来る迫力がありました。

「すべての人たちが、人生に意義を感じられる目的感を持てる世界を作ろう」というテーマです。

僕らミレニアル世代なんだから、昔の世代の卒業式スピーチみたいに「自分の人生の目的を見つけよう」なんてそんなことは言われなくたって本能的にやってるでしょう?そうじゃなくて「みんながその気持を持てるようにすること」が重要なんだ・・・っていうのはなかなかパワーある話。

ケネディ大統領がNASAの門番に何やってるの?って聞いたら「人類を月に送る手伝いをしてるんです」って答えた話が好きで、そうやって「あらゆる人に”俺達はやれるんだという感覚”を持ってもらうこと」が今必要なことだ・・・っていうのは、あらゆる分断が社会を引き裂いていくこの時代に凄く重要なメッセージだと思いました。(最近、凄いのは”日本”じゃなくて単にその技術の発明者個人であって、ネットでこの記事読んでるお前じゃねーよ!とかそういう言わずもがなのことをいちいち言ってタフぶってる人がいますが、そういう人は社会というのが色んな人のサポートしあいによって成立しているってことを軽視しすぎてると思います)

他にも、最初にフェイスブックをハーバードの寮で立ち上げた夜に、今日は自分がハーバードのメンバーを繋いだが、そのうち誰かが世界中を繋ぐだろうと思ったとか。そこで「自分じゃないだろうが誰かが」と思ってちゃダメでそれ「自分が」やるんだよ!というメッセージとか。最初期のマネジメントチームと、会社を売るか売らないかで大モメにモメて、その結果、共有できる大きな目的がなかったからああなったんだと気づいたという話など、なかなかドラマチックな話が満載で飽きさせません。

なんにせよ徹底的にアメリカンに理想主義的だから、骨絡みの懐疑主義者の日本人からすると具体案に近づけば近づくほど「え、さっきの超凄い話の具体例がそれ?」って感じもあるんだけど(笑)でもそんな疑問が沸いた時点でこっちが「俺って小せえ人間かも」ぐらいになってしまうほどの徹底的理想主義の迫力みたいなのがあって圧倒されて最後まで見てしまいました。

あなたの立場によってはこれはひょっとすると偽善そのものに見えるかもしれん・・・が、「超弩級に徹底した揺るぎない偽善」は、それ自体を多くの人が「善なるもの」として必要としているメカニズムというのもあるだろうというぐらいの迫力でした。

正直この前の大統領選の候補者のどれをとってもこんなスピーチの力はなかったし、オバマ大統領のスピーチは確かに「うまい」かもしれないけど、でもこんな迫力はない気がします。

個人的には、例のスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式スピーチ(”stay hungry, stay foolish”演説)に匹敵する何かなんじゃないかと思って、今日は自分の本の執筆にあてるはずの日だったんですが、脳が占拠されてしまって仕事にならないので、ボランティアで日本語訳をすることにしました。

アゴラの文字数制限では全然書ききれないので、ちょっと心苦しいですが(アゴラ運営の方すいません)、以下のリンクから本文はお読みください。どうぞ↓。

ザッカーバーグのハーバード卒業式スピーチが感動的だったので日本語訳した

倉本圭造
経済思想家・経営コンサルタント
公式ウェブサイト
ツイッター

(このスピーチとは別に、ザッカーバーグの理想主義すぎるプロジェクトが若い頃有名な大コケした事件があって、それについて語りながら、アメリカだからできることと、それに対抗するために日本だからできること・・・というブログを昔書いてかなり評判だったので、よかったらあとで読んでください。→こちら