4000万円台のワンルームマンションは誰が買っているのか?

今週の新聞広告を見ていてビックリしました。敢えて物件名は消していますが、外苑前に建設している新築ワンルームマンションの販売価格が、25平米程度の広さで4200万円と書いてあったからです(写真)。

現在の都内中心部の不動産投資物件の表面利回り(年間の家賃収入を物件価格で単純に割り算したもの)は5%前後です。そこから管理費や修繕積立金といった諸費用が差し引かれて、所有者の手取りの収入となります。

もし、この4200万円のワンルームマンションから、5%の表面利回りを得ようとしたら、家賃は17万円以上に設定する必要があります。超一等地であったとしても、ワンルームにここまでの家賃を出す人はほとんどいません。ワンルームの場合、家賃が10万円を超えると借り手の数が極端に減ります。家賃を15万円以下に引き下げたとしても、賃貸付けはかなり苦戦しそうです。

自分が住むのではなく、賃貸物件として収益を狙うのであれば、考えるべきことは、「出来るだけ空室リスクが低く、利回りの高い」物件を探すことです。また、将来の家賃水準という観点からは資産性も重要です。

新築のワンルームマンションは、上記の投資判断の観点からは、メリットよりもデメリットが大きな投資対象といえます。収益性や資産性に比べ、価格が割高になっているからです。もし、4200万円の新築ワンルームが、3000万円で販売されていれば、投資対象として検討する価値はあると思います。中古ワンルームと比較して必ずしも割高とはいえない価格だからです。

4000万円台の新築ワンルームマンションを購入している人は、果たしてどんな人たちなのでしょうか。

ほとんどの人は、中古ワンルームマンションの投資対象としての優位性を知らないと思われます。知っていれば、例えば、同じ都心にある2000万円の中古物件を2戸購入した方が、良いと考えるのが自然だからです。

不動産投資を始めても、やり方次第では思ったような成果が出ないケースがあります。その原因のほとんどが、購入時の物件選択時点に存在します。同じエリアであっても、どんな物件をどのくらいの価格で買うかによって結果は変わります。

「不動産投資は危険」「東京の物件価格は高すぎ」といった一般論ではなく、きめ細かく物件を吟味していくことが、不動産投資で成果を上げるために必須だということです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年5月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。