子どもと大人を変える「トークフォークダンス」

津屋崎ブランチ(福岡県福津市)の山口覚さんと対話を重ねたときに1番感動したのが、こちら。

「トークフォークダンス」

(写真提供:福間中学校)

トークフォークダンスは、大人と子供が一体一になって、お題に基づいて語り合うもの。フォークダンスのように1分、2分ごとに大人と子供が入れ替わります。

福津市福間中学校にて、2011年ごろから生徒会の研修にて採用されたのを最初に、2013年には2年生全員(230人)を対象に行われました。

つまりは大人230人が参加することになるのですが、その人集めがとても大変。地域力がなければ実現しえないものです。

しかし、一度参加したら、大人も子どもを感動して、次の日から関係性が変わります

このトークフォークダンスのすごいところは、
・1対1なので、最初は下を向いたり距離を置いている子も、そこから逃げられずしゃべらざるをえない。しかし、1、2分おきにいろんな大人と話をしているうちに、どんどんと顔が変わり、前のめりになる。

・例えば「大切な本はなんですか?それはなぜ?」「尊敬する友達の話をしてください」など、お互いに評価されることがない設問が真ん中にあり、大人が誠実に自分の話をしてくれるし、自分の話を誠実に聞いてくれるので、そんな初めての体験に心が動くようです。

・「本当は感謝したい人は誰?何を感謝したい?」「本当は謝りたい人は誰?それはなぜ?」などという問いは、多くは母親のことだったりしますが、本人に面と向かってはできない話を赤裸々に話してくれます。

・それを聞いた大人も、本当は自分の子どももそう思ってくれているのだと間接的に感動するわけです。

・ルールは、批判しないこと。そして沈黙を大切にすること。沈黙は考えていないのではなく、これまで自身が言語化したことのない新しい概念が生まれようとしている貴重な時間だという


福津市では2010年度にコミュニティスクール準備委員会が立ち上がり、11年度からはコミュニティスクールの運用が始まったところから、この企画が実現。

当時の校長と教頭がとても前向きな方で、「やってみよう!」となり、今に至ったとのこと。現在は、福津市の学校現場では「対話」をテーマにした多くの取り組みがなされていますし、トークフォークダンスは直方市(福岡県)や武雄市(佐賀県)などいろんな場所に広がっています。

こうした動き更に広めていきたいですね。

もっと知りたい!
津屋崎ブランチの山口覚さんが語る「未来会議室3箇条」



<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>

<井上貴至の働き方・公私一致>
東京大学校友会ニュース「社会課題に挑戦する卒業生たち
学生・卒業生への熱いメッセージです!

<井上貴至の提言>
杯型社会に、求められること


編集部より:この記事は、愛媛県市町振興課長(総務省から出向)、井上貴至氏のブログ 2017年6月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。