豊洲と築地はどのように再整備されるべきなのか???

宇佐美 典也

ども宇佐美です

さて昨日小池知事が会見で築地市場の移転問題について、「豊洲に移転し、築地も再開発する」という方針を示しました。大きな方針としては、

(1)「築地は守る、豊洲を活かす」
(2 )豊洲はIT(情報技術)を活用した総合物流拠点とする
(3) 都民の信頼回復に徹底的に取り組む

というものがあげられたわけですが、会見での小池知事のこの方針に関する説明は具体性に欠け内容がグダグダで、私には「今使用している施設が老朽化したので、近隣に最新の施設を6000億円かけて建設して店子ごと移転することにしたが、やっぱり古巣も数百〜数千億円をかけて再整備して場合によっては店子も戻ることにする」という著しく不合理なものに聞こえてしまいました。

少なくとも現状では具体的な計画が全くなく

・築地で何をするか全く決まっていない
・誰が事業を担うか全く決まっていない
・築地の再整備費をどこから拠出するか示されていない
・肝心の卸/ 仲卸業者のコンセンサスが取れていない
・それにもかかわらず年間160億円賃料を見込んでいる

という状況ですから、「絵に描いた餅」、で選挙向けに苦し紛れに打ち出した思いつきにすぎないと理解すべきなんでしょう。この小池知事の提案についてはなんと、豊洲移転派の生田よしかつ氏と、築地残留派の中澤誠氏と、市場問題PTから脱走した森山高至氏の三人がそろって酷評、という奇跡的な状況が生まれています。

そんなわけで、とにかく一時的?とはいえ豊洲移転が決まった、ということ以外は全くわけがわからない会見だったのですが、さすがにもう少し何か考えているだろうと情報を漁ったところ、月間「FACTA」の2017年7月号に小池知事周辺のリーク記事らしきものがありました。記事名は「築地・豊洲に小池の「隠し玉」」なるものでして、今回の小池知事の発表を深掘りした内容が掲載されています。この記事なども参考に、小池知事の腹案を推測しますと

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①豊洲に土壌汚染の追加対策を実施する
→言うまでもなく「地下水を環境基準以下にする」という過剰目標に基づくもので、本来「食の安全」という観点からは不要なもの

②その上で築地から豊洲に「仮移転」をする
→2018年のGWごろに移転か??

③5年後をめどに築地を「マルシェ」として再開発して、一部業者が豊洲から新市場へ帰還
→築地再開発にあたって、市場用のスペースは1/3程度に抑えて「マルシェ」を整備し、あとの2/3はホテルやレジデンスやオフィスとして開発する。そして一部卸、仲卸が築地に帰ってくる。

④豊洲の空いたスペースを活用して物流拠点として再整備する

→豊洲の空いたスペースを2020年の冷凍庫の脱フロン規制に対応した最新型の物流基地として仕立て直す。

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ということになります。ま〜スケールのでかい壮大な妄想ですね。。。どうやら知事が会見中に言及した「食のワンダーランド」なるものは、サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフをイメージしているようです。
https://www.travelbook.co.jp/topic/778

これが仮に実現すれば結構なことのなのですが、ただ、東京都自身にこのような再開発をやりきる力はないでしょうし、また現状東京都に替わってこの構想を担いでくれるデベロッパーも明らかになっていないわけで、そのような中こうした方針を見切り発車で発表をする小池知事の無責任さと言うものを個人的には痛感しています。

ただ知事が会見で発言した「浜離宮と築地の一体開発」というのは結構重要な視点だと思っていまして、これに限らず現在の東京の開発には海運の観点が決定的に抜けています。その背景には東京の港湾利権が自民党と結びついてガチガチに既得権益化・岩盤規制化している現状があるのですが、せっかくここまで問題を大きくしたのですから、築地ー豊洲の再開発にあたってはこうした既得権益に切り込んで東京湾の「浜離宮ー築地市場ー豊洲市場ーお台場ー芝浦ふとう」という海運ラインの一体化を実現してほしいと思うところです。それこそ「国家戦略特区」なんて活用すればいいんじゃないでしょうか。そうすれば、豊洲から築地の運送なんて海運なら10分もかからないんですから、両方に市場を整備するなんてバカバカしい発想は消えるはずです。

そんなわけでとりあえず豊洲移転が決まったことは祝いつつ、今後の築地活用プランについては改めて海運の活用という視点を交えて現実味、経済性のあるプランを検討してほしいところです。

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「宇佐美典也のblog」2017年6月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は宇佐美典也のblogをご覧ください。