7月2日に投開票を控えた東京都議会議員選挙が、いまだかつてないほどの注目を集めています。公明党は国会では自民党と連立与党を形成していますが、都議選では小池百合子都知事率いる都民ファーストの会と連携して選挙戦を戦っていくことになりました。その方向にかじを切った背景には、どのようなことがあったのでしょうか?
都議会公明党都政改革推進PT座長、松葉多美子氏にインタビューを行いました。
都議会が注目を集めている今は、都議会が大きく変わるチャンス
-選挙ドットコム編集部(以下、編集部)
今回の都知事選はかつてないほどに注目を集めていますね。この現状をどう見られていますか?
-都議会公明党都政改革推進PT座長 松葉多美子氏(以下、松葉氏)
都議会に関心が集まることは、とても嬉しいことだと思っています。
今まで都民の皆様でも、国会や地元の区市町村議会には関心があっても、都議会は何をしているのかよく分からないという方は多かったのではないでしょうか。
この4年間、都議会は本当に激動でした。1年目は猪瀬元知事の辞任、2年目はセクハラやじ問題、3年目は舛添元知事の辞任、4年目は小池都知事の都政改革。ご心配いただくことの連続で申し訳ない限りでしたが、こうした出来事を通じて都民の皆様が都議会に関心を持っていただけていることを感じ、非常にありがたい気持ちです。これは大きく都議会が変わるチャンスでもあると考えています。
身を切る改革の裏には、虚偽を見抜けなかった反省があった
-編集部
激動の4年間だったとのことですが、この4年間を振り返って公明党として実績はどのようなものがあったのでしょうか?
-松葉氏
最大の実績は、議会改革を進めたことです。
大きな実績のひとつに、「身を切る改革」として都議会議員の議員報酬を20%削減する条例を提案し、実現させていただいたということがあります。
これには私どもの反省を踏まえた経緯があるんです。現在、豊洲市場の移転問題が話題になっていますよね。昨年9月に豊洲新市場の建物の下に盛り土がされていなかったことが明らかになりました。そのことについて私たちは何度も議会で質問をしていたのですが、「盛り土をしました」という東京都の答弁を信じて、虚偽を見抜くことができなかったのです。これは議会の責任であり、議員の責任であると考え、信頼回復のために襟を正す必要があると強く思いました。
そして提案させていただいたのが議員報酬の削減です。他会派から反発もありましたが、公明党単独で条例を提案し、最終的には他の会派の方々も賛同してくれて都議会本会議の初日に共同提案をすることになりました。公明党がリーダーシップをとり、提案した3つの条例を一字一句変えることなく全会一致で可決し、今年の4月から議員報酬は実際に20%削減されています。
もう1つ進めている議会改革が「情報公開」「透明化」「見える化」です。議員が使えるお金には議員報酬以外に政務活動費というものがあります。今までも1円以上の領収書はすべて公開していましたが、都議会までわざわざ足を運ばないと都民の皆様がそれを見ることができないという状況でした。そこで、私たちは政務活動費の領収書を1円以上のものはすべてインターネットで完全公開することとしました。平成29年度からの政務活動費がどこでいくら使用されたかは、すべてインターネットで公開します。
-編集部
1円以上で公開とは、本当に徹底した情報の透明化をしたいという意思を感じますね。
-松葉氏
はい。大事な都民の皆様から預かっている税金をどう使うか、無駄を削減して必要なところにどうお金を振り分けていくかということを考えるのは議員の大きな仕事だと思います。議員報酬の2割削減で年間約4億4千万円を都民の皆様に還元することができます。
セクハラやじ問題の時もそうですが、この任期中、都議会の品格が問われ、古い体質を変えていこうという声をあげてきました。都民の皆様にもある意味都議会に関心をもっていただき、ご意見をいただけるよう更に改革をしていきたいと考えています。
-編集部
議員報酬削減は、ある意味、どの会派でも頭の中にあったアイディアだったと思います。その中でも、公明党がリーダーシップをとって進めていくことができたのはなぜでしょうか?
-松葉氏
私たち公明党は国会議員から区市町村議員まで、広いネットワークがあります。都民の皆様からも他の道府県にお住まいの皆様からも、そのネットワークを通して日頃より様々なお声をいただいております。
この4年間に起こった様々なネガティブなできごとは、私たち公明党が起こしたわけではありません。ですが、私たちにも「都議会全体として意識が甘いんじゃないか!」と、大変厳しいお言葉もたくさんいただきました。そうした声を聞くのは大変辛く、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。厳しい声も直接議員に届くというところが、公明党が有権者にとって身近であり、思いを伝えられる政党だという証拠なのかもしれません。
また、公明党は各会派に合意形成がとれる政党でもあります。公明党は現場に近く、都民のお声をストレートに受け止める党でもあります。特に今回は都民の皆様の信頼回復のために、必ず実現するんだという強い決意が都議会公明党にはありました。だからこそ、議員報酬20%削減をリードできたのではないかと考えています。もし他の会派がリードしていたら、「政局争い」の材料に利用され、前に進まなかったかもしれません。
情報公開・透明化・見える化を徹底していきたい
-編集部
いよいよ告示が目前に迫ってきていますが、都議選に向けての政策や意気込みを教えてください。
-松葉氏
更に都政改革を前に進めていきたいと思っています。先ほども申し上げましたが、「情報公開」「透明化」「見える化」を重点的に進めていきたいと考えています。
都議会議員の定数は都民約10万人に1人、127人です。1300万都民の方が全て「これは素晴らしい」という政策って、なかなかないと思うんです。ですので、まずは情報公開をして政策決定過程を見せていく。委員会をインターネット中継するなど議論の課程も含めて全て見える化していく。そういった都政改革が今後も引き続き重要になっていきます。
改革を進めていきたいと思っている議員・政党を今回選んでいただけるかどうかが、次の都議会・都政改革につながっていくのではないでしょうか。
-編集部
今回の都議選で当選した都議は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを迎えます。東京オリンピック・パラリンピックについてはどうお考えでしょうか。
-松葉氏
はい、今回選ばれた都議は3年後に東京オリンピックを都議会議員として迎えます。レガシーを遺すという意味でも、負の遺産を残さないという意味でも、この任期は非常に重要な期間です。どういう成功に導き、どういうレガシーを遺したいのか、そしてそれを責任を持って果たせる議員かどうかをしっかり見極めて選んでいただきたいと思っています。
また、東京オリンピック・パラリンピックにむけても経費の見える化は大事だと思っています。こちらも引き続き改革を進めていきます。
改革を前に進めていくのか、後戻りさせるのか?
-編集部
最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。
-松葉氏
今回の選挙は「改革を前に進めるのか、後戻りさせるのか」ということが問われる選挙だと思っています。東京の未来がかかった非常に重要な選挙です。
今まで選挙に行かれたことのない皆様も是非投票所に足を運んでいただき、皆様の声を直接都政にとどけていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。