公明党の視点から都議選と小池新党を占う

八幡 和郎

公明党サイトより引用(編集部)

東京都議会議員選挙を自民、都民ファースト、民進から見た場合の分析はいろいろあるが、公明党からみた分析はあまりお目にかからない。しかし、今回の選挙結果は都民ファーストにとってと同じくらい公明党の勝利でもある。都政の与党に留まり、危ないといわれた23人の候補すべてを守り切った。

公明党は、支持率が高い小池知事に協力したほうがよいといったのに、自民党が意地を張って、対決姿勢を崩さず、しかも、公明党が小池知事と組んだら、「公明党の協力なしでやるテスト・ケース」とか安倍首相が愚かなことをいったすれば、その報いということだ

公明党と小池知事は新進党以来の蓄積があるので、互いがよく利用価値と付き合い方を知っている。知事選挙の直前の参議院選挙で、小池氏は兵庫県で公明党公認候補の応援に入った。だから、公明党は推薦はしなかったが、ある程度の票が流れるのを止めなかった。

今回も、公明党の当落線上の候補へのてこ入れを熱心にやった。
つねづね私はアゴラでも書いているとおり、小池知事については、本人が絡む巨大スキャンダルでもない限り、どうひっくり返っても、再選は動かない。ところが、自民党都連は勘違いしたようだ。

小池知事に限らず、女性現職首長は強い。(それが良いことかは別として)女性現職知事が選挙で負けたことはないのを思い起こすべきだ。女性市長だってちょっとどうかと思う人でも落選したことなど滅多にない。

小池新党の国政進出があるかないかだが、これも公明党との関係が最大の焦点だと思う。衆議院は東京で25の小選挙区があるが、現職で自民党でないのは、公明党の太田昭宏(12区)と民進党の長妻昭(7区)、柿沢未途(15区)、それに自民党を離党して無所属の若狭勝治(10区)の三人だ。

比例は、17議席が前回選挙では自民6、民主3、共産3,維新3、公明2だった。ここで、都民ファーストが候補を立てることはさほど大きな摩擦を生むまい。今回の得票率を維持すれば6議席は獲得できる。

それから、若狭氏も出馬すること自体が反発を買うことはないし、夫人が民進党を離党した柿沢氏が都民ファーストに入ってくるかもしれない。

太田氏の12区に関しては、大阪府での公明党候補の場合と同じく、自民推薦のままでも都民ファーストが対立候補を立てることはあるまい。

それに対して、ほかの選挙区で公明党が推薦する自民党候補に都民ファーストが対抗馬を立てれば、公明党の立場は著しくややこしいことになる。

全国各地で「小選挙区は自民、比例は公明」と訴えてきたことでかなりの票を得ているなどの事情もあるからだ。そのあたり、公明との関係をどうするかで自民も小池氏も頭を悩ませることになるし、公明党も、両方に要求をしていくことになるのではないか。