蓮舫記者会見総括と望月衣塑子不在の残念さ

蓮舫氏がついに、「戸籍謄本」「国籍離脱申請書」「台湾旅券」の3点セットを公開したことは、アゴラでこの問題を追及してきた我々と読者のみなさんにとって偉大な勝利である。

当初は戸籍謄本を公開すると伝えられたが党内左派や自称リベラル系マスコミの圧力で後退する発言をしていた。そこで、アゴラなどで「3点セットを公開しないと『二重国籍』状態が解消したかどうかすら不明のままだ」とキャンペーンを張ったことが功を奏した。

記者会見に先立つ数日、この点に先回りをして徹底的に釘を刺して置いたのである。満足すべき大戦果である。

これで、「政治家たるもの、国籍について曖昧な点を残していけない」という画期的な前例になったことは喜ばしい。これを前例として欲しくないと蓮舫氏はいっていたが、当然これは前例だ。前例としないかどうかを決めるのは法的義務に反した行為をしていた蓮舫氏ではない。少なくとも国会議員については、そうあるべきだ。

折しも、オーストラリアでは国会議員2人が「二重国籍」を理由に議員辞職に追い込まれた。二重国籍を認めてないのに、いい加減な運用をしている日本は甘すぎるのだ。世界の常識は我々にあることが立証されたといえよう。を

ただ、蓮舫氏が開示した3点セットのうち、台湾旅券は最新のものではない(=1987年以降に有効な旅券は取得してないと主張)。日本旅券を公開しなければ、台湾出入境時に台湾旅券を使用していない証明にはならない。

あくまでも、「二重国籍の事実は知らなかった」と強弁したが、大富豪だった台湾人の父親が亡くなったときの相続過程で気付かなかったとは思えない。タレント時代には、自分で「父は台湾で、私は、二重国籍なんです」(週刊現代1993年2月6日発行号)などと発言していた。

このことを記者会見で追及されて、「結果として法的な評価、あるいは事実関係を含めて齟齬が生じている」「発言が軽かった」などと、ごまかすように答えていたが、過去の自分の発言を「嘘を言っていた」というなら挙証責任は蓮舫氏にある。

マスコミで繰り返し犯罪や法に反する非行をしたと自白しておきながら、あれはワルを装っただけと弁解しても世の中では通らない。

「戸籍を強要されて開示することは前例としてはならない」などとも語っていたが、世界の常識として国籍はプライバシーなどと認識されていない。ヨーロッパでは、国民も身分証明書携行が義務で、買い物するときにクレジットカードや小切手を使うときに提示を求められる(このごろは暗証番号やサインだけではダメでダブルチェックが多くなっている)。

日本は外国人が少なかったから必要がなかっただけで、今後ともそれでいいかは著しく疑問だ。世界に開かれた国にするためにこそ、また、軽武装の平和国家であるためにも普通以上の安全装置は不可欠だと思う。

それから記者の質問は甘く、隔靴掻痒だった。あの東京新聞の望月記者がいないのが残念だった。菅義偉官房長官に浴びせた20連発のような質問したら褒めてあげるのにと思った。しかし、あの記者会見のてぬるい質問を「悪意がある」というなら、官房長官記者会見での望月記者の発言は悪意どころか、なんと表現したら良いんだろうか。

八幡和郎
飛鳥新社
2016-12-21