産経新聞によれば、豊田真由子氏の新たな政策担当秘書を青森県板柳町の松森俊逸町議(61)が兼務していることが明らかになった。(豊田真由子氏の新たな政策秘書を青森の町議が兼務「国会事務所で電話番」と説明)。自民党が大敗した、7月2日に実施された都議選直前の、6月30日付けで政策担当秘書に就任したとのことである。
経緯を整理してみたい
どのような経緯で就任されたのだろうか。記事によれば、松森氏の妻が豊田議員の公設秘書であったこと。松森氏は産経新聞の取材に応じて「妻に頼まれて政策担当秘書になった」と答えているようだ。しかし、この表現には違和感がある。あたかも、妻の要請で政策担当秘書になったかのような印象を与えるからである。
政策担当秘書は、採用する議員の申請があってはじめて認められる。よって、妻の要請で政策担当秘書になれるわけではない。議員が雇い入れる明確な理由が必要になる。また、県議+政策担当秘書の給与を手にすることから、二重取りの可能性について指摘している新聞社もある。この点は情報を集めているので本記事での言及は控えたい。
同じく、産経新聞の報道によれば、松森氏は豊田議員とはまだ会っておらず国会の事務所に詰めているという。しかし、政策担当秘書は、議員からの申請があってはじめて認められるので少々違和感がある。もし、議員と会わずに採用されたとなるとなんらかの問題が生じた場合、責任の所在が不明瞭になってしまう。
豊田議員と会っていないということは、業務に関してもコンセンサスがとれていないということになるが、この発言に問題はないのだろうか。さて、ここで政策担当秘書の身分についても触れておきたい。国家Ⅰ種並みの難易度と言われているが合格者は少ない(昨年度20名)。ほとんどの場合、選考採用審査認定を満たすことで資格が付与される。
また、政策担当秘書という職務内容の特殊性から法的な身分は特別職国家公務員と規定されている。つまり、政策担当秘書は原則的には兼任ができないはずである。例外的な措置として、「所属議員が職務遂行に支障がないと認めて許可した場合は可能」とされている。しかし、会っていないのだからコンセンサスはとれない。
衆議院議長が「承認」すれば認められるが「承認」されている事案なのだろうか。また、処遇などはどの程度だろうか。給与や手当、勤務条件の内容は国家公務員法によって定められている。政策担当秘書の場合、最低でも「1級2号給」以上による処遇になることから、月額給与は最低でも、424,600円が支給される(俸給表による)。
手当が魅力的
「1級2号給」の給与水準は中央省庁の課長補佐・課長代理クラスに相当する。非キャリアで入省し課長に昇進できずに定年を迎える人は少なくない。そう考えれば高給ともいえる。他にも、住居、通勤、期末、勤勉の各手当が支給され退職手当も用意されている。補則すると、月額12,000円を超える家賃を支払っている場合は27,000円支給。
通勤手当は55,000円/月額が支給限度額。もし青森からの通勤にしているなら片道60キロ以上あるので満額の55,000円が支給される。期末手当と勤勉手当は半年毎に在職期間に応じて支給される。退職手当も在職期間による。手当は推測で算出しているが、高給な電話番でうらやましいと言われないためにも説明責任を果たすべきでは。
尾藤克之
コラムニスト
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