「最強2位が考える1位との差 大学スポーツの将が語る」(17年02月24日)という記事の中で、東海大学ラグビー部の木村季由(ひでゆき)監督は「帝京大に勝てなかった理由」を問われて、「強みを磨いて武器を作り、相手の強みを消すのが鉄則だと考えています(中略)。一つを使えなくしても、違う引き出しでゲームを組み立てていく強さやバランスの良さは1枚も2枚も上でした」と答えられていました。
先ず、何事によらず未来永劫1位と2位が変わらないということはあり得ません。これまでの1位が消え去るとか2位が1位になるとか、或いはどちらも消え去るといった具合に様々な状況が生じますから、私は「1位かくあり」と一概には言えないと思っています。
また、「勝負は時の運」という部分もあるかもしれません。状況をよく見つつ代替案に移行出来る柔軟性が、常に求められます。『易経』にあるように、「窮すれば即ち変ず、変ずれば即ち通ず」です。そういう意味では、上記した「違う引き出しでゲームを組み立てていく強さやバランスの良さ」は、非常に大事になると思います。
また、勝負というものには相性の善し悪しがあります。それは実力差は然程ないものの、何となく何時も負けているようなケースを言うものです。他方、相手との力に大きな開きがある場合、チームの構成員夫々が持っているパワーに違いがあるケースが殆どです。
そして、その優秀な個々人が纏まって作り上げて行くチームがチームとして同じベクトルに向かう時、1位を持続出来たりするようになるのだろうと思います。それは例えば勝ち方についても、誰しもが「ああしたら良い」「こうすべきでは」と議論するわけでなく、監督が判断し、その命令一下直ちに皆夫々の持ち場でベストを尽くして遣り切れるということです。
最後に、個々人のパワーの違いと共に重要な問題は、監督がメンバーを適切な持ち場に配置できているか否かです。『論語』の中にも「其の人を使うに及(およ)びては、之を器(うつわ)にす…上手に能力を引き出して、適材適所で使う」(子路第十三の二十五)という孔子の言葉があります。チームとして全体を上手く持って行くべく適材適所に努めねば、何事によらず中々勝ち続けることは出来ないでしょう。
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