秋に18歳成人、統一選までに被選挙権年齢も引き下げ

図表: 成人・選挙権・被選挙権等年齢の推移と関係法令との関係

出展:高橋亮平作成

図表: 図表: 成人・選挙権等年齢の関係法令

出展:高橋亮平作成

法相が「秋に18歳成人法案」と各紙報じたが既に以前からの既定路線

今月4日、内閣改造によって新大臣になった上川陽子 法務大臣が閣議後の記者会見で成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案を秋の臨時国会に提出する方針を明らかにしたと、マスコミ各社が報じたが、こうした若者政策について活動し続けてきた立場からすると、「何を今更騒いでるんだ」という印象だ。

今年1月に成人の日に合わせて『今年の通常国会で成人は18歳になる。若者は今すぐ社会の主役を目指せ!』を書いたが、当初政府と総務省は今年1月から6月までの通常国会にこの「18歳成人」法案を提出するつもりで準備をしていた。国会対策の関係で共謀罪の審議を優先するとの判断で、臨時国会へと先送りされただけで、春のその判断の時点から臨時国会への法案提出は既定路線となっている。

「18歳選挙権」の際も、後になって「急に法改正された」「若者不在の引き下げ」等と騒いでる「自称専門家」が数多くいたが、世間で話題になる時には既に方向性は決まっている。
むしろこうした若者参画についても、実際に実現するために動いている我々の様な「政党や政治家への働きかけ」等ロビイングは、その前の段階に行っているのだ。
「いい加減他人の成果で偉そうに評論するのを止めて、自分で新しい仕組みを実際に作る動きをしろ!」と言いたかったりもする。

自民党「政務調査会」「選挙制度調査会」で高橋亮平が講演、問題提起

「18歳選挙権」実現の際も高橋亮平は、2014年の衆議院憲法審査会、2015年の政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会に参考人として国会に呼ばれたが、2016年11月には自民党本部で行われた「自民党政務調査会」の特命委員会に招かれ、今回話題になった「18歳成人」に向けて新たに設定される「若年成人」への教育・育成に関して有識者として講演を行った。全ての参加者を把握していないが、船田元 委員長はじめ、今津寛氏・亀岡偉民氏・永岡桂子氏・古川俊治氏・宮崎政文氏・穴見陽一氏・前田一男氏・上野通子氏・宮本周司氏・中曽根弘文氏・はせ浩氏・冨岡勉氏・井野俊郎氏・石井みどり氏他多くの衆参国会議員、内閣府参事官・政策統括官、文科省課長、消費者庁課長など関係省庁職員も出席していた。

さらに今年6月には、「被選挙権年齢引き下げ」について、同様に自民党本部で開かれた「自民党選挙制度調査会」に招かれて講演を行った。

逢沢一郎 会長をはじめ、岩屋毅 会長代行、関口昌一 会長代理、谷公一 副会長、福田峰之 事務局長、石井正弘・牧原秀樹 両事務局長代理、山田賢司 事務局次長といった調査会役員のほか、古屋圭司 選挙対策委員長も出席し、原田義昭氏、柴山昌彦氏、あべ俊子氏、平将明氏、白須賀貴樹氏、宮崎政久氏、田畑裕明氏、松本文明氏、保岡興治氏、左藤章氏、坂本哲志氏、田中和徳氏、鈴木淳司氏、神山佐市氏、三ツ林裕巳氏、菅家一郎氏、黄川田仁志氏、鈴木隼人氏、尾身朝子氏、神谷昇氏、瀬戸隆一氏など把握できているだけでも多くの議員に参加いただいた。

自民党のこうした政務調査会や選挙制度調査会などといった会議には、関係省庁の幹部や担当も同席もする。

政権与党の政策決定機関でこうして事ある毎に有識者としてお話させてもらったのは、非常に貴重な機会であり、こうした機会なども通じて、一歩一歩確実に実現に向けて進んでいる。

ここで改めて皆さんに共有しておきたいのは、こうして若者参画の整備についても実際に動いているという事だ。「18歳成人」については、約1年前となる2016年8月に『どこよりも詳しい「18歳成人」解説。被選挙権年齢引き下げにつなげ!』を書いているので、これを読んでいただくと、筆者たちが選挙権年齢引き下げ実現のための仕掛けを埋め込んだ2007年の国民投票法成立の際からの仕掛けが連動して動いている事などが分かってもらえると思う。

冒頭の図表も是非参考にしてもらいたい。

自民党は2019年の統一地方選までの被選挙権年齢引き下げを準備している

図表: 主要政党の被選挙権年齢引き下げ公約及び法案提出状況

出展: 各党マニフェスト及び法案から高橋亮平作成

被選挙権年齢引き下げについては、これまでも『若者が与党を動かした!~自民党、参院選公約に「被選挙権年齢引き下げ」盛り込みへ』や『若者たち自身が動かした!「若者担当相」「被選挙権」等が公明党参院選重点政策に!』などでも紹介してきたように、当事者である大学生や高校生など若者たちとも連携しながら各党に働きかけ、2016年の参議院選挙では、ほぼ全ての主要政党の選挙公約に反映する事ができた。

参院選挙直後の臨時国会では日本維新の会が「被選挙権年齢18歳引き下げ法案」を提出。衆参国会議員のほか都道府県市区町村の議員と首長の全ての被選挙権を18歳に引き下げるとしたほか、民進党も社民党、自由党などと共同で、被選挙権年齢を現行から5歳ずつ引き下げるなどとした法案を提出した。

いずれも野党による法案提出であり結果的には廃案となったが、先述のように、与党自民党の中でも被選挙権年齢引き下げに向けて動き出しており、選挙制度調査会の中では、既に2019年の統一地方選挙までの施行と目標を定め、法改正の準備を進め始めている。

有権者は支持政党も大事だが、各党の実績を冷静に評価する必要がある

「18歳選挙権」実現の際も、特にイデオロギーで対立していると思われる層の中には、「安倍総理やその後ろにいる人たちは18歳に選挙権を与える一方で徴兵制を企んでいる」等と陰謀論をいう人たちがいたが、そろそろこうした何も情報収集もしようとせずに自分の応援する政党と反対の政党のやる事は全て陰謀論で片付ける様なチープな話にするレベルは脱却する必要がある。

多くの場面で表面上はよく言われている事だが、これからの政治においては、各党が政策による競争を行っていく事が求められる。

政治家自身の感覚でどう思っているかは聞きたいところでもあるが、政権与党だけが政策形成を行なって、野党はそれを批判だけしていればいいという時代は既に終わっている。
国会においては各党がより効果的な政策を提示していく事で、政策がより良いものになっていくというプロセスを見たいものだ。

こうした中で、一方で有権者の質の向上も同時に求められる。
各政党の若者政策をフラットに見ると、与党である自民党、公明党が着実に前に進めている現実がある。

こうした事はしっかりと評価しながら、一方でこうした分野の政策は、与野党なく超党派で推進していくことも重要であり、さらにこの分野での政策が進んでいくよう、与党はもちろん、野党の動きにも注目しながら、進めていきたいと思う。

是非、多くの皆さんにも、有権者として各政党の活動や政策の推進をチェックするキッカケにも、この「18歳成人」及び「被選挙権年齢引き下げ」に向けての動きについて注目してもらいたい。