日本経済新聞電子版に『夏の風物詩・高校野球に迫る「部員減」の危機』という記事が出ていた。
日本経済新聞に倣って部員数の推移を調べた。日本高校野球連盟によると2016年の硬式野球部員数は167,635名。それが2017年には161,573名まで減少している。2014年の170,312名がピークだった。一方、全国高等学校体育連盟の調べでは2016年に男子サッカー部員は169,855名で各種競技の中で最大である。2014年には164,944名だったから野球とは最近逆転した。
日本経済新聞は中学生では状況はもっと深刻だという。確かにその通りで、日本中学校体育連盟調べでは2016年の男子部員数は、サッカー227,735名、軟式野球185,314名、バスケットボール175,987名、ソフトテニス171,397名、卓球148,160名で、野球が多くの部員を集めている状況にはない。
日本経済新聞は、他のスポーツに比べ使う用具が多く初期費用がかさむことを人気低迷の原因だとしている。地上波放送からプロ野球中継が減り野球に触れる機会が減ったことも大きいとの分析も紹介されている。最後の頼みは、清宮幸太郎選手のようなスター選手の登場だそうだ。
統計値を日本経済新聞は正しく把握しているが、人気低迷の原因と打開策はその通りだろうか。用具が多く初期費用がかさむのは今に始まった話ではない。JリーグもBリーグも地上波ではほとんど中継されておらず、野球と同様にプロのプレーに触れる機会は少ない。高校サッカーや高校バスケにそれほどのスター選手がいるわけでもない。
全国高体連と離れて高野連を組織する特権意識、女子マネージャーの練習参加を阻んできた男尊女卑の考え方、手首を骨折しても強行出場しホームランを打った選手をたたえる根性論、灼熱の甲子園で試合を強行する姿勢、これらすべてに昭和の香りがプンプンする。練習場から走って帰るのを強制された女子マネージャーが死亡する事件も最近起きた。
『奇跡のレッスン』というNHK Eテレのシリーズ番組がある。世界の一流スポーツ指導者が日本の子どもたちに一週間の特別指導をする様子に密着した番組だ。野球編にはボビー・バレンタインが登場したが、彼が強調したのは「きのうの自分よりほんの少し上達しよう」だった。「この子たちはプロになるわけではない。スポーツは楽しまないと」という言葉を他の指導者もしばしば発している。指導を受けた子供たちは素直に生き生きとスポーツを楽しむが、それが中学高校でのクラブ活動の理想である。
2016年時点で青森県では56高校1700名のサッカー選手が登録されている。しかし、高校サッカーの代表校は20回連続で青森山田。他校は県予選を勝ち上がっていくが、2014年と2015年のトーナメント表で確認すると青森山田は準決勝からの登場と「スーパーシード」されていた。えこひいきのように見えるかもしれないが、他校は勝負よりもサッカーを楽しむために参加している。このトーナメント表には高校野球にはない柔軟性が感じられる。
高校野球も昭和の香りを消さなければ人気は復活しないだろう。