話し方ということでネット検索してみますと、『「話がわかりやすい」人は一体何が違うのか』(東洋経済オンライン、17年02月21日)といった類の、分かり易さに関する記事も数多く見られます。
本テーマで私見を申し上げれば、分かり易い話し方とは簡単な言葉で自分の言いたい事柄を上手く説明出来ることだと思います。自分が良く分かったことは噛み砕いて人に説明出来るようになりますから、他人が分かりにくいということなら、自分が本当に分かっていないのではないでしょうか。
物事には順序というものがあって、何事でも起承転結と言いますが、此の結を先に持ってきても構わないと思います。そして順を追ってその理由をロジカルに説明出来る状況が、望ましいのではないかと思います。
例えばプレゼンテーションの流れ一つを見ても、此の起承転結の流れを作って行ける人が意外と少ないことに私は何時も驚きます。では何故そのように少ないのかと言いますと、人を説得するトレーニングが不十分だからだと思います。
概して、多くの人は自分の言いたいことは考えるものの、どう言ったら他者が納得してくれるかと考えることに疎かです。人に分かって貰おうと思うならば、やはりそのこと自体を真剣に考えなければなりません。
自分が描くビジョンを達成するには、様々な人を説得したり、色々な人に納得して貰う必要性が出てきましょう。従って、その辺りのトレーニングを積んで行くことが非常に重要になるのです。
例えば私は野村證券時代、米国の海外投資家に日本株を売るといった時に、そのポートフォリオマネジャーの興味関心や運用哲学、運用方針等々と、敵を知り敵の興味を引くことを先ず大事にしたものです。
何故なら相手が関心を示さぬ話を幾ら続けてみても、時間の無駄に終わることが殆どだからです。だから私は第一に、相手のことを調べ上げたのです。そしてその上で今度はそれに合わせて説得すべき事柄、あるいは説得の仕方等々を考えたというわけです。
『孫子』に「彼を知り己を知れば百戦危うからず」とあるように、相手がいる以上やはり相手を考慮せずに何事をやるわけには行きません。之も人に納得して貰ったり、分かって貰うために一つ重要なポイントだと思います。
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