イケダハヤト氏の「コンビニで現金使う人ってバカなのかな……。」がいまだに絶賛話題中である。今回は、ファイナンシャルプランナー(CFP(R)、1級FP技能士)、社労士として活動している、川部紀子(以下、川部氏)に、お金の専門家として話を伺った。近著に『家計簿不要!お金がめぐる財布の使い方』(永岡書店)がある。
キャッシュレス化は止まらない
マイナビニュースの記事(2017/08/18)によれば、現金派が約4割であるとされている。私はコンビでは現金は使用しない。理由は面倒だからである。
「今回はWEB調査のみでしたが、『留置調査法』『直接面接取材』などを実施すれば、さらに現金派が増えたのではないかと思います。イケダハヤト氏の今回の意見に対しては、現金派へのツッコミも含めて理解できます。彼の立ち位置であれば、炎上は大歓迎でしょうから『バカ』という表現をあえて使ったのでしょう。」(川部氏)
以前、内閣府が実施した、ネット調査と訪問調査の差異を比較検討した調査によれば、同じ質問で最大30%の差異が生じた箇所があり話題になったことがある。このような結果を踏まえれば、現金派は4割をはるかに超すことが想定できるだろう。現金、電子マネーのメリット、デメリットなどについて整理してみたい。
「専門家の立場でコメントしたいと思います。まずは、利用金額の把握という点です。正直なところ、現金の方が把握しづらいと思います。明細はクレジットカードや電子マネーのサイトで確認できますし、スマホに『マネーフォワード』を入れて連携しておけば、アプリでカードと電子マネーの両方が確認できます。」(川部氏)
「PCやガラケーでは把握が難しいですが、スマホはアプリを使用すれば把握に適しているといえます。今後、世の中はキャッシュレス化に移行していくことから、一定の耐性は付けた方がいいと思います。」(同)
海外に目をむければ、アメリカはカード決済が主流なので現金をほとんど持ち歩かない。財布であれば2つ折りが主流だ。「成功したければ長財布を使用しろ」とか、「長財布×200倍が年収」とか、財布にお金を馴染ませるような不可解な儀式も存在しない。事実、私はアメリカ人で長財布を所有している人を見たことがない。
日本でブームになった、マネークリップを使用している人も見かけない。財布を使わない人は、お札やコインをジャケットやシャツのポケットに無造作に放り込んでいる。
「確かに、欧米では現金よりもクレジットカードの方が主流では?と思うほどクレジットカードが活用されています。日本は欧米にならっていく国ですから、キャッシュレス化の流れが止まることはないでしょう。今後は、現金と見えないお金を使い分けていくハイブリッドな感覚を持つ方が賢明だと思います。」(川部氏)
「海外では小額でもカード決裁があたり前です。きちんと支払ったことに変わりはないので、正々堂々と振舞いましょう。」(同)
キャッシュレス時代を賢く生きる
「コンビニで現金を使う理由について思ったことは、『クレジットカードや電子マネーを使ってないだけじゃないかな?』ということです。クレジットカードや電子マネーに変えたら、その利便性に驚くはずです。『家族にバレれたくないなど、訳アリの買い物で、“履歴を一切残したくない”』との言い分であれば現金で買うのも納得です。」(川部氏)
「カードや電子マネーだと、どこのコンビニでいくら使ったかが明瞭ですが、現金であればレシートを捨てればうやむやにできます。」(同)
実際、イケダハヤト氏をディスったコメントを読んでも、「バカでけっこう」「好きにさせて」「お前がバカ」という内容ものが多く、理性的かつ論理的に語られているものが見当たらない。私はポイントを意識したことは無いが、ほとんどの商品にポイントかマイルが付く。現金では1円のキャッシュバックもない。
川部氏は、ポイントカードも出さず、かつ、現金で支払うことを「小銭を落としているようなものだ」と強く警鐘を鳴らしている。お金のプロが見るとそのように見えるのだろう。これからの、年金減額、増税を控えたキャッシュレス時代をどう賢く生きるかはあなた次第でもある。この機会に見直してみてはいかがだろうか。
さて、話は変わるが、約3年半ぶりに出版をした。タイトルは『007に学ぶ仕事術』。アゴラでは、「ビジネス著者養成セミナー」という著者希望者のためのセミナーを隔月、「出版道場」という出版ニーズに応えるための実践講座を年2回開催している。
私は、著者や出版社から献本されたなかで、ニュースとして相応しいものを紹介記事として掲載している。今回はそうしたなかで、記事が編集者の目に留まり出版にいたった。読者の皆さまへ感謝としてご報告を申し上げたい。
尾藤克之
コラムニスト
<9月10日に締切ります>
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