そのダイエットは成功しないのは、心をいじめているから

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

時々、お会いするダイエットを成功させたくて食事や運動に気を使っている人たち。彼らの熱心さには頭が下がります。それまでファーストフード大好きな生活をして、間食にはお菓子を食べていた人たちも野菜や果物中心の食生活に切り替えたり、ろくに運動をしなかった人が心機一転してマラソン大会を目標に近所の公園を走り始めたりという具合です。

かくいう私も、仕事のストレスから暴飲暴食で小太りだった時代がありました。ですが今では朝食はフルーツオンリー、そして適度なウォーキングをするようになって適正体重をキープして、極めて健康体です。昔、いくつものダイエットで失敗を重ねて、今は適正体重を維持している私が心がけていること、それは「痩せるためには絶対に無理をしない」ということです。なぜそのように考えるかというと、「ダイエットに熱心なあまり、無理をしてその結果かえって太ってしまう」という矛盾を抱えてしまい、その原因が「ダイエットのために無理をしていることの反動」だと考えるからです。

無理のいけないところは「長続きしないこと」

よく「気合と根性で時には無理をすることも必要だ!」って言う人がいるじゃないですか?これって私は間違っていると思うんですよね。なぜかというと、無理をしてなんとかなるのは、目の前の出来事だけでしかなく、長期的にずっと無理ができる人なんていないと考えるからです。「なんとしても50kg台に到達するぞ!」そう考えて、それまで一日3食だったのに1食しか食べなかったり、置き換えダイエットで夜はところてんしか食べないなど極端な食事制限をすることで、たしかに50kg台は達成できるでしょう。気合と根性で無理をすれば、とりあえず目の前の誘惑ははねのけ、短期的な目標を達成することはできます。

でもこのやり方の問題点は、それがずっと長続きしないという点にあります。どんなに強靭な精神力を持つ人でも、ずっと無理を続けることなんて不可能だと私は思っています。

賭博黙示録カイジという漫画をご存知でしょうか?この漫画の中でそれを示すエピソードがあります。主人公カイジは本当は「ホカホカの焼鳥」を食べたいけど値段が高いことに躊躇し、値段の安い「柿ピー」で我慢しようとしていました。それを見た大槻班長はカイジに対して次のようにいいます。「その禁欲ってのが実に良くないんだ。心はゴム毬だよ 押さえつけられれば 必ずはねかえそうとする」と。この漫画を見た人はこのシーンに強烈に共感したはずです。「あるある!これは猛烈に分かる!!自分も同じ状況なら同じことをやって、後から焼き鳥が食べられなかったことが脳裏に焼き付いて離れなくなる!」という具合に。漫画の中でいっているように、心はゴムまりのようなもの。押さえつけようと思っても必ず反発する特性を持っています。無理をすることの良くない理由は、その一回だけは我慢できても、長い目で見るとどんな挑戦であってもほとんどの場合は途中で耐えられなくなってしまい、かえって効率が悪くなってしまうということです。そしてその時の反動はとても大きく、それまでの我慢をムダにしてしまうほど強烈なものです。

先ほど例に上げた漫画の中では、我慢していたことの反動で主人公カイジはホカホカの焼き鳥だけでなく、ビールやおつまみにまで手を伸ばして暴飲暴食、あっという間に散財してしまいました。

心を押さえつけても、必ず反動が来る

ダイエット成功のための試みについて話を戻しましょう。ダイエットの方法は人によって異なりますが、食事制限とか、おいしくない健康食を食べ始めたりするなどで、あなたがどこかで自分の心を押さえつける”我慢”をしているなら、そのやり方は絶対に間違っています。

「おいおい、なんで黒坂に間違っているなんて言われないとダメなんだよ!」と言いたくなるかもしれませんが、それでも私は間違っていると言い切ります。健康的に体重を落とすことを目的にダイエットをしているのに、続かない我慢をすることでかえって太ってしまう結果をもたらす可能性が極めて高いと思うからです。目的を達成できないやり方は間違っていると思うわけです。あなたがこれまでダイエットをした経験があれば、次のように心の悪魔が囁く瞬間がありませんでしたか?「日頃すごくダイエットを頑張っているから、今日くらいはラーメンやケーキを食べてもいいだろう」と。この囁きは最初の頃ははねのけることが簡単でしょう。「いやいや、まだまだ痩せ始めたんだからこんなところでケーキなんて食べたら無駄になってしまう」

でもだんだんその囁きは声量を増していき、どんどん大きくなってやがて脳内をこだまするようになります。そしていつしか「もうここまで頑張ったんだから、ちょっとくらい食べても大丈夫だ」そう考えて、ついついラーメンなんかを食べてしまいます。久しぶりに食べる濃厚なとんこつのおいしさはまさに極上!普段、無理をして好きでもない質素な食事で我慢をしていたのですから、舌に染み込むその旨さはたまりません。

夢中になって食べ終えて、お店を出て駅に向かって歩いて行く頃には少しずつ後悔の念が押し寄せてきます。自宅に帰るともう懺悔タイム。「なぜ誘惑に抗えなかったのか…!自分はダメだ。もっと頑張らないと…!」そう思って明日からより厳しいダイエットに励むわけですが、その頑張りこそが次の反動を産んでしまいます。そして同じことを繰り返す内にダイエットを諦めてしまったり、リバウンドで以前より太ってしまったり…。

健康のために心を押さえつけることで、後で大きな反動になってそれが心身を痛めつける不健康になるという矛盾です。

無理せず、楽しくダイエットを成功させよう

「ダイエット」という言葉を聞き、もしもあなたが嫌なイメージを持ったなら要注意です。「食べたいものを我慢しなければいけない」「やりたくもない運動を頑張らなければいけない」そういったイメージは間違いです。なぜなら世の中には無理せず、楽しくダイエットに成功する人はいるからです。要するにその楽しんでいる人から正しいやり方を学べばいいのです。

私は暴飲暴食を辞めて、スルスルと無理なく適正体重になることは出来ました。それが出来た理由は一切無理をしなかったからです。私の場合は朝食に白米やパン、ハムや卵におやつまで食べていたのですが、一切やめてフルーツオンリーにしました。空きっ腹に頂く旬のフルーツは、乾いた舌に染み込む極上のおいしさです。フルーツだけだと腹持ちは良くないのですが、ほどなく慣れてしまいました。それから5年以上経過して、今もずっとフルーツオンリーの朝食です。おいしいおいしい!と続けていたら、気がついたら適正体重になっていました。私のダイエットが成功したのは、まったく無理をしなかったことが成功の理由だと考えています。

もしもあなたがうまくいかないダイエットに悩んでいるなら、食べているもののカロリーうんぬんばかりを気にするのをやめて立ち止まり、「このやり方は心を押さえつけていないか?」ということを自問してみてくださいね!

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。